2014年5月2日金曜日

特定国立研究開発法人

読み方:とくていこくりつけんきゅうかいはつほうじん

独立行政法人通則法(独法通則法)に加えて特例法が適用される「国立研究開発法人」の中で、国家を代表する研究機関として特に指定され、さらなる特例が設けられる法人。

独立行政法人通則法に基づく従来の制度は、主に事務的・定型的な業務を効率的に行うことに重点を置くものであったことから、より研究機関の性質に馴染んだ新しい制度が望まれてきた。そこで、2010年から、一部の研究機関を「国立研究開発法人」に指定し、評価期間や予算の運用などについて、他の独立行政法人と異なる制度を設けることが検討された。さらに、国立研究開発法人の中から、特に重要な2-3法人を指定し、「特定国立研究開発法人」として追加の特例措置を設けることが検討された。

特定国立研究開発法人に指定された研究機関は、国家を代表する研究機関として位置づけられ、「世界最高水準の成果」を挙げることが期待される。総合科学技術会議や関係省庁からの影響力は他の国立研究開発法人よりも強いものとなり、国家戦略に基づく基礎研究や国家的に重要な技術の研究が行われることになる。民間や大学などでは実現困難な大規模研究、大規模プロジェクトの推進主体となることも期待されている。また、特定国立研究開発法人の指定にあたって、独立行政法人一般に求められてきた事業費、人件費の削減方針が見直されたことから、優れた研究者への給与増加なども可能になると見られている。

2014年3月に、文部科学大臣や科学技術大臣など4閣僚の間で合意が形成され、産業技術総合研究所(産総研)と理化学研究所(理研)が特定国立研究開発法人に指定される運びとなった。両機関は、論文の質や量などが国内の研究機関の中でトップレベルであり、特定国立研究開発法人に相応しい機関として認められた。

他方、特定国立研究開発法人の指定とほぼ同時期に、理化学研究所(理研)では「STAP細胞」の研究論文の是非を巡る問題が持ち上がり、大騒動であるかのように連日取り沙汰された。5月1日時点でSTAP細胞論文問題には決着がついておらず、理研の特定国立研究開発法人への指定も先送りとなる可能性が出つつある。

関連サイト:
4関係閣僚 合意内容 - 首相官邸ホームページ
研究開発法人に係る制度見直しに関する検討状況 - 総務省
国立研究開発法人(仮称)制度の在り方に関する懇談会における主な指摘事項 - 文部科学省