2014年5月21日水曜日

グレーゾーン事態

読み方:グレーゾーンじたい

安全保障分野において、武力行使はされてはいないものの、国の主権が脅かされかねない、と判断される事態の通称。有事ではないが、有事でないものとして対処することが困難なケース。あるいは、現行法に則っていては十分な対応が取れないと考えられるケース。

「グレーゾーン」の語は「合法と非合法の境目」といった意味で多々用いられる。違法行為と同等の行為であるが違法とは規定されていない、したがって罰則規定がない、といった事柄が一般的にグレーゾーンと呼ばれる。安全保障におけるグレーゾーンもこれに倣った表現といえる。

2014年5月に、政府与党(自民党・公明党)がグレーゾーン事態を想定した制度再編の検討を本格的に開始した。「集団的自衛権」と平行して検討調整が進められている。

有事とは、主に武力行使を伴う国家主権侵害行為を指す。有事と判断されると自衛隊を出動させて防衛に当たらせることができる。武力行使を伴わないケースでは、自衛隊ではなく警察や海上保安庁などが対応することになる。もし、武力行使がなく(衛隊の防衛出動ができず)、しかしながら海上保安庁などでは手に負えない、といった事態が発生した場合、現行の制度では手続きを進めている間に事態が収拾困難なレベルに発展する可能性がある。

グレーゾーン事態に該当する具体的なケースとして、「武装している可能性のある集団が離島を不法占拠した」場合が挙げられている。現行法では、さしあたり海上保安庁が対応し、海保では対応が難しいと判断されれば所定の手続きを踏んで自衛隊を出動させることになる。

グレーゾーン事態を想定した制度の再整備は、2014年5月現在、自民党と公明党の間で協議されいる。