2014年5月19日月曜日

アトキンソンサイクル

英語:Atkinson cycle

内燃機関(エンジン)において、燃料の圧縮比よりも膨張比を大きく取ることにより余分な排熱を抑え、優れた熱効率を得る方式。19世紀イギリスで考案された。

従来の自動車の一般的なガソリンエンジンには「オットーサイクル」と呼ばれる構造が採用されてきた。オットーサイクルもアトキンソンサイクルも、共にピストンの往復運動を伴うレシプロエンジンである。オットーサイクルは吸気(圧縮)も排気(膨張)も共に一定のストロークでピストン運動を行い、膨張比と圧縮比を等しく取っている。これに対して、アトキンソンサイクルは吸気・圧縮を行うストロークよりも、膨張・排気を行うストロークを長くとっている。

アトキンソンサイクルはオットーサイクルに比べて吸気排気中の熱損失(ポンピングロス)が少なく、より効率的に運動エネルギーを取り出すことが可能とされる。ただしストロークの差を設けるため機構が複雑になり、十分な高出力が得られるエンジンの実現は技術的に難しかった。理論そのものが完成した後も、自動車エンジンとしての実用化は長らく遂げられていなかった。

2010年代に本田技研工業がアトキンソンサイクルに基づくエンジン「EXlink」(エクスリンク)を開発、初めてアトキンソンサイクル方式の小型エンジンの量産化に成功した。トヨタなどもアトキンソンサイクル式エンジンを開発し、ハイブリッドカー等に搭載している。

関連サイト:
超低燃費と世界最小サイズを実現した新型家庭用ガスエンジンコージェネレーションユニットを各ガス事業者へ供給開始 - 本田技研工業株式会社 2011年05月23日
EXlink - Honda