2014年8月20日水曜日

私的制裁

読み方:してきせいさい

個人や組織・集団が自らの価値判断に基づき与える、法的根拠を伴わない懲らしめ行為。

暴力行為を伴う私的制裁は特に「リンチ」と呼ばれることが多い。

私的制裁は個人が個人に対して行うこともあれば、会社などの組織が特定個人に対して行う場合もある。インターネットなどを通じて不特定多数が特定個人を吊し上げ、私的制裁の様相を帯びる場合もある。

刑罰は国家が法律に基づき判断して初めて正当に科すことができる。罰を加えるには、しかるべき手続きを経る必要がある。私的制裁は法を無視した単なる加害行為であり、それ自体が法的処罰の対象となり得る。

ただし、事によっては、私的制裁を実施するに至った経緯が、世間の同情や似た状況に置かれた人の共感を呼ぶことがある。2014年8月に古書店「まんだらけ」が、万引き犯の写真をモザイク付きでウェブ上に公開し、盗品を返さなければモザイク無しの顔写真を公開すると宣言し、物議を醸した。顔写真の公開は警察の要請により取りやめられた。まんだらけのこの対応は万引き犯に社会的ダメージを与えるものであり、私的制裁だ、と指摘する見解がある。他方、万引被害に悩まされている小売店などからは、万引行為の問題を世に問うたことを好意的に見ている向きが強い。