2020年4月17日金曜日

ファシズム

ファシズムとは、ファシズムの意味

ファシズムとは、イタリアのベニート・ムッソリーニと彼が率いた政党のファシスト党が提唱した思想、および1922年から1943年にかけてのイタリアで実践された政治体制のこと。転じて第二次世界大戦の枢軸国陣営に属するイタリアやドイツなどで実践されていた独裁的な権力、反対勢力への徹底的な弾圧、産業と商取引の制御といった思想・政体・運動を指す意味として用いられることもある。第二次世界大戦中やそれ以降では、全体主義や軍国主義を包括して指す言葉としても使用されるようになった。日本語では「結束主義」とも呼ばれる。

ファシズムの語源

ファシズムの語源は、「束」や「集団」、「結束」を意味するイタリア語の「ファッショ(fascio)」である。ファッショにはさらに語源があり、ラテン語で斧の周りに短杖を束ねたものを意味する「ファスケス」から来ている。ファスケスは古代ローマの執政官が、権力の象徴として所持していた。ファシスト党の党章には、このファスケスが意匠として組み込まれている。

ファシズムの定義

何をもってファシズムとするかの定義には諸説あるが、一般的な見方としては独裁の一種であり、大衆を扇動することで積極的な動員を図り、市民の自由や人権を無視した国家政策を掲げ、反対派を弾圧する政治体制や思想を指すとされる。イタリアのファシスト党やドイツのナチ党が掲げる政策であり、合法的に他の政党を解散させて反対勢力を無くし、一党独裁体制を敷いた。同じ枢軸国の日本では、戦争状態に移行する上で政党が自発的に解散し、公事結社である大政翼賛会へと一本化され、軍部による政策を大政翼賛会が追認する翼賛体制が成立しており、これもファシズムの一種として捉えられることがある。事実、大政翼賛会を主導した近衛文麿は、ドイツのナチ党を見本として一国一党体制を敷くことを構想していた。しかし実態は各政党からの寄り合い所帯だったため、一党独裁とはやや様相が異なっている。

ファシズムが生まれた背景

ファシズムが生まれた背景には、民衆の支持がある。イタリアでは第一次世界大戦後に発生したインフレーションによる国民の生活基盤の破壊や、領土拡張が認められなかったことで、民衆の不満が高まっていた。労働者や農民が社会改革を求めて各地で暴動を起こしたが、これをムッソリーニが率いるファシスト党が武力によって鎮圧し、社会主義革命を恐れる支配層や中産階級といった民衆の支持を集め、1922年のローマ進軍によって政権を握り一党独裁体制を確立した。一方のドイツでは、第一次世界大戦敗戦によるダメージと、ヴェルサイユ条約による各国からの圧力によって国家が疲弊していた。この社会不安に乗じる形で、ナチ党を率いるヒトラーが行動力と宣伝によってドイツ国民の心を掴み、農民や中産階級の支持を受けて一党独裁を実現した。

ファシズムの語の用法

ファシズムは第二次世界大戦以前には批判的な用法で用いられることはなく、批判的な用法に転じたのは第二次世界大戦の勃発後、連合国側が枢軸国側を指して用いたところからとされている。これは枢軸国が敗北することで侮蔑語としての扱いが世界的に広まった。一方で、ドイツのネオナチや日本の楯の会、欧州連合のヨーロッパ国民戦線など、戦後にファシズムを標榜する団体も現れており、これらが掲げる思想は戦中以前のファシズムと区別するために「ネオ・ファシズム」と呼称される。

ファシズムを比喩的に用いる用法もあり、主に急進的な性質を持つ運動に対して批判的に用いられることがある。例を挙げると、環境保護のために人間の自由や権利を犠牲にしても良いとする立場をエコファシズム、イスラム過激派が掲げる急進的なイスラム至上主義思想をイスラムファシズムと呼称されることが少なくない。ただし、こうした用法については議論も多いことに注意する必要がある。