2022年11月22日火曜日

イデオロギー

英語:ideology

「イデオロギー」とは、「社会のあり方などに対する考え方」や「人の行動を左右する考え方や信条」、場合によっては「偏った物の見方」という意味で用いられる言葉である。

「イデオロギー」は、基本的には、「社会はこうあるべきだ」という理念が理論的にまとめ上げられたもの、特定の理念や観念が体系としてまとめられたもの、などを指す意味で使える表現である。

今日においては、イデオロギーは「政治に関する思想・信条」あるいは「政治理念のよりどころとなっている立場や考え方」といった意味の語として用いられることが多い。そして「特定方面に偏向した(歪曲を含んだ)思想」という否定的な意味合いが込められることが多い。

例文:「この新聞の社説は特定のイデオロギー色が強い」

政治思想・信条という意味におけるイデオロギーは、特定の見解に基づく理論の体系である。それ自体は理路整然としており、この理論を実践すれば理想的な社会が実現できるという確信をも抱かせ得る。しかしこの確信は、イデオロギーの外側にあってイデオロギーと対立するような見解や立場とは相容れない場合も多い。そのためイデオロギーは社会的・政治的な対立の根本要因となり得る。

イデオロギーの対立に起因する争いを「イデオロギー闘争」と呼ぶことがある。一般的には「イデオロギー闘争」といえばマルクス・レーニン主義において提唱された社会階級間のイデオロギーの相違に基づく闘争を指す。新日本プロレスでは「価値観や理念・美学の相違による敵対関係」というような意味で「イデオロギー闘争」の語が用いられている。

イデオロギーは「思想」と言い換えられる場合も多い。観念の体系という意味ではイデオロギーも思想の一種である。ただし政治思想としてのイデオロギーは往々にして実践や言論としての表出を伴う。そして排他的な言論、排他的な行動として受け止められがちである。

イデオロギーの語が政治思想の意味で用いられる場合、大抵は、そのイデオロギーに懐疑的な立場の者によって、ネガティブな意味を込めて用いられる。その意味でイデオロギーという呼称はある種のレッテル貼りである。

極言すれば、イデオロギーとは、あるイデオロギーに立脚している者が対立する(相容れない)イデオロギーを指して用いる語である、とすら表現し得る。

イデオロギーという呼称がある種のレッテル貼りである以上、どのような思想や立場がイデオロギーに該当するのか、しないのか、という判断基準が厳然としてあるとは言いがたい。

見方にもよるが、共産主義も、資本主義も、民主主義も、帝国主義も、いわゆるリベラル思想も、戦後日本のいわゆる自虐史観も、イデオロギーの一種として扱われ得る。

「思想」と「イデオロギー」の違いは、イデオロギーが「社会・政治・歴史観に関する」「行動や生活に結びつきやすい」思想体系という意味で用いられやすく、思想はより広範かつ実践に直結しない形でも用いられやすい、という点でおおむね使い分けられているといえる。