2020年4月27日月曜日

瑕疵

読み方:かし

瑕疵とは、瑕疵の意味

瑕疵とは、「きず」のこと。一般的には不具合・欠陥・欠点・失敗などを意味する。法律上においては、本来であればあるべき機能・性能・要件が満たされていない状態を指す。類義語に̪前後を逆さにした熟語である疵瑕(しか、しが)があり、同じく欠点・過ちなどを指す言葉だが、こちらは瑕疵とは違い、法律用語として使用されることはない。

法律上の概念としての瑕疵

法律上の概念としての瑕疵は、民法、とりわけ不動産契約において頻出した単語である。人、あるいは法人格の持つ権利やものについて、法的に何かしらの欠陥がある状態を指している。「瑕」という漢字は「きず」、「失敗」という意味を持ち、成り立ちとしては「(宝)玉」に付いてしまった「きず」から来ている。「疵」という字もまた「きず」、「罪」などを意味し、こちらは主に人体に付いた「傷」を指す言葉であるが、「疵」にはさらに「そしる。悪口をいう」という意味合いもある。これは瑕疵という言葉が単なる不具合ではなく、謗られるべき欠陥、という趣旨を内包していることを意味する。

瑕疵と過失の違い

法律概念上の類義語として「過失」があるが、これは瑕疵と明確に区別される。過失とは注意義務を怠ることによって、人が引き起こした過誤を意味する。因みに、「意図的に引き起こされた過ち」は過失ではない。過失とはあくまで、不注意・怠慢によって生じた過ちを指す。対して瑕疵は、物に生じた欠陥や不具合のことである。「物」に発生した不備であるからといって、必ずしも物理的なきずであるとは限らない。不動産やその他商品が、法律的に本来備えているべき用件を満たしていなければ、それもまた瑕疵として扱われる。

民法における瑕疵

法律、とりわけ民法においての瑕疵は、行為・権利・ものが、法的に欠陥を抱えている状態を表す言葉である。例えば契約の締結後、売り手が事前に告知した数量・品質・種類通りの商品やサービスを提供できない状態にあったり、買い手が意思表示をする際に何らかの詐欺・強迫行為があれば、それらは民法上の瑕疵となる。瑕疵ある商品を提供した売り手は、それによって発生した損害の賠償、あるいは契約の解除などの責務を負う場合がある。買い手の瑕疵ある意思表示は、後から取り消すことが可能である。このように民法上、瑕疵が発覚した場合は買い手が売り手側に対して有利になるよう定められている。

これは法整備が為される近現代以前、買い手は売り手に対して不利な立場にあり、買い手の保護が必要だったためである。この傾向は特に不動産契約において顕著であり、古くは瑕疵担保責任、2020年4月1日よりは契約不適合責任という概念で、売り手の責任の所在を明確にしている。なぜならば不動産は通常の商品と違い、一見しただけでは発覚しないような箇所に瑕疵が存在し、後年になって発覚するようなケースがあるためである。このような場合、どの時点で発生した欠陥であるかが不明瞭だと、買い手も売り手に対して責任を問いにくくなってしまう。そういった事態を避けるために、売り手は契約不適合責任を負うこととなる。

瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更されたことによって、買い手の立場はいっそう強く保障されることとなった。賠償請求、契約解除に加えて、改めて完全に契約内容を履行するよう売り手に求める「追完請求」ほか、いくつかの権利を新たに得たためだ。諸外国のルールに合わせる、わかりやすい言葉を使用したわかりやすい民法を目指す、などという目的から、実のところ「瑕疵」という文言は今後、民法では使われなくなる。

瑕疵の類義語


  • 瑕瑾(かきん)
    「瑾」もまた宝玉を意味し、「瑕瑾」とは「美しい宝玉についてしまったわずかなきず」である。
  • 弊竇(へいとう)
    「竇」とは穴のことであり「弊害となる穴」、すなわち欠陥を意味する。