2022年12月7日水曜日

可処分時間

読み方:かしょぶんじかん

「可処分時間」は、「個人が自分の裁量で自由に過ごせる時間」を意味する表現。要するに個人の自由時間のこと。「可処分所得」をもじった用語であり、主にビジネス・マーケティングの分野で用いられる表現である。「有限な個人(消費者)の可処分時間を企業が奪い合う」という構図が、昨今のビジネス分野において関心事として注目されている。

そもそも「可処分所得」は「個人の収入のうち自分で好きに消費できる収入」を指す語である。具体的には、各種の税金や社会保険料などが差し引かれた残りの生活費である。衣食住や趣味・レジャーにどのように使うかは個人次第である。

企業は、自社の商品やサービスを買ってもらう(可処分所得を割いてもらう)ために努力するわけである。

「可処分時間」は、可処分所得になぞらえて言えば「個人が生活する中で自分で好きに消費できる時間」のことである。具体的には、1日の生活のうち睡眠、仕事、通勤などの時間を差し引いた残りの時間のことである。自由時間をどのように過ごすからは個人次第である。

企業は、自社の商品やサービスを利用してもらう(可処分時間を割いてもらう)ためにマーケティング上の努力するわけである。

1日は24時間に限られている。可処分時間を増やすことは、可処分所得を増やすことと比べても、かなり難しい。リモートワークの普及により通勤時間が削減され、その分だけ可処分時間が増えた、というようなケースはめったに起きない。

「個人の可処分時間を割いてもらう」という考え方に立つと、企業が競合する相手は同業他社だけではないということになる。たとえばサブスク型の音楽配信サービスや動画配信サービスは、同業のひしめき合う激戦分野であるが、むしろソーシャルメディアやソーシャルゲームの動向の方が脅威になる可能性がある。遊園地やレジャー施設が競合として意識される場合もある。

個人消費者の側も可処分時間に対する意識は以前にくらべて先鋭化している。近年は「タイパ(タイムパフォーマンス)」という考え方が明確に重視されるようになり、時間の無駄づかいを減らそうとする傾向が顕著になりつつある。Z世代はイントロの長い曲を敬遠し、冗長になりがちな動画は倍速で再生する。必見の映画は「ファスト動画」で、人気YouTuberの動向は「切り抜き動画」で概要だけ知ろうとする。

個人にとって「可処分時間」の概念は、人生や生活を濃密で充実したものにするために有意義はである。