2013年6月11日火曜日

国際的な子の奪取の民事上の面に関する条約

英語:Hague Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction

ハーグ国際私法会議によって策定された、いわゆる「ハーグ条約」のうち、16歳未満の子供が国外に不法に連れ出された際の対応について規定する国際条約。

この条約は、離婚夫婦の親権争いに対しても効果を持つ。つまり、国際結婚から離婚に至り、一方の親が子供を自分の国へ、強制的に連れ帰ろうとした場合に、強制力を持って元の居住地に留まらせることで、子供を保護すると共に、親の対話の機会を与えるものである。最終的に子供がどちら側に引き取られるかは、別の問題として進められることになる。

「国際的な子の奪取の民事上の面に関する条約」は1980年に策定されたが、日本は2011年まで批准していなかった。2011年7月に批准を決定した際にも、米国から「遅い」と苦言が漏れたことが報道されている。

日本の家族法では夫婦間で離婚が成立した場合、一方の親が子どもの親権を得ることになっており、共同親権が認められていない。大多数の場合、母親が親権を握る。特にアメリカ人と結婚した日本人女性が離婚後に子どもを連れて帰国する場合がトラブルになることが多く、これがハーグ条約違反に当たるという。米国の連邦捜査局(FBI)では誘拐事件として、子どもを連れて帰った元日本人妻のリスト化もされている。

2013年5月現在、世界89カ国がハーグ条約に批准している。日本は主要8カ国の中で、唯一加盟していない国家であるが、5月22日に参院本会議でハーグ条約への加盟案が可決された。

ハーグ条約に加盟すれば、子どもを連れ戻しやすくなる一方で、元パートナーのもとへ引き渡さなければならない場合もある。