2012年1月23日月曜日

大規模スパインイメージング法

読み方:だいきぼスパインイメージングほう

科学技術振興機構(JST)と東京大学大学院が共同研究において開発した、神経細胞の観測手法。従来一般的に用いられてきた「カルシウムイメージング法」の難点を改良し、より多くの神経細胞の活動を同時に観測可能とするもの。

カルシウムイメージング法は、細胞の活動に深く関わるカルシウムイオンと結合して蛍光を発する色素(カルシウム蛍光指示薬)を使用して細胞活動を観測する手法である。カルシウム濃度により蛍光の度合いが異なるため、活動の有無だけでなく活動の状況をより細かく観察できる利点がある。

科学技術振興機構のプレスリリースによれば、カルシウム蛍光指示薬の蛍光は微弱なため、観測するために強いレーザー光を当てる必要があり、観察中に細胞が死んでしまうという困難があった。これに対して「大規模スパインイメージング法」は、抗酸化剤を用いて死滅する細胞を減らし、また光透過性が高い光学レンズと高感度デジタルカメラを使用するなどの改良を行うことで、同時に活動が観測できる細胞の数を、従来の100倍程度に高めることに成功したという。

2012年1月20日、JSTと東大大学院は、大規模スパインイメージング法を使用した実験により「ニューロンが1000分の1ミリレベルで局所集中した回路を正確に編んでいる」ことを証明したという研究成果を発表した。

関連サイト:
脳回路が驚くほど精密に配線されていることを発見(新開発の撮影技術で、数十年来の脳科学の謎を解決) - 科学技術振興機構(JST)プレスリリース 2012年1月20日
Locally Synchronized Synaptic Inputs - Science 20 January 2012