2013年3月1日金曜日

ADSR炉

別名:加速器駆動未臨界炉
英語:Accelerator Driven Subcritical Reactor

加速器によって加速した陽子を原子炉内の核燃料にぶつけることで核分裂反応を発生させる方式の原子炉。2013年3月現在、実用化はされておらず、研究が進められている。

原子力発電は、核分裂反応のエネルギーを取り出している。核分裂反応は中性子を放出し、この中性子が他の核燃料にぶつかってまた核分裂反応を引き起こす。この連鎖反応が安定的に維持されている状態を臨界という。原子力発電は臨界状態を制御することで効率的にエネルギーを取り出しているが、他方で、連鎖反応が暴走して止められなくなる(超臨界)に至る可能性を常にはらんでいる。

ADSR炉は核分裂反応の起因となる中性子を加速器側で発生させる。炉内の核分裂反応により発生する中性子の量では臨界に達することがなく、炉は常に未臨界状態になる。このため、加速器が停止すれば原子炉は安全に停止するという。

また、ADSR炉を利用して使用済み核燃料に中性子をぶつけ、原子核変換を起こすことによって、超長期的な半減期をもつプルトニウムなどをより半減期の短い物質に変換することも可能とされ、実験が進められている。この技術が実用化されれば、オンカロに象徴される放射性廃棄物の処理問題が大幅に容易になる可能性がある。

関連サイト:
加速器駆動未臨界炉 - j-net21
加速器駆動未臨界炉 - 京都大学原子炉実験所