2013年12月16日月曜日

イタイイタイ病

読み方:イタイイタイびょう
別名:イ病

富山県の神通川流域で、1910年代に発生が確認された公害病。日本の四大公害病の一つに数えられる。

イタイイタイ病は、摂取されたカドミウムが腎臓に蓄積し、骨軟化症を起こす病気である。病状が進行すると腎不全が起こるとともに、骨の強度が低下し、ほんの僅かな刺激でも骨折してしまうようになる。イタイイタイ病の名は、患者が「痛い、痛い」と訴えたことに由来する。

イタイイタイ病は、神通川上流の神岡鉱山から放流されたカドミウムを含む排水が、農地を汚染したことを原因として発生したが、当初は原因不明の病とされていた。1968年に、当時の厚生省がイタイイタイ病を国内初の公害病に認定し、汚染実態の調査を行ったが、その時には既に、地域住民は数十年にわたってカドミウムを含む水や食物を摂取していた。

イタイイタイ病の被害者団体は、1968年から7回にわたって、原因企業の三井金属鉱業を被告とした訴訟を行い、そのうちの第一次訴訟で勝訴判決を得た。残りの訴訟は、三井金属鉱業が補償を約束したことにより、原告側によって取り下げられた。また、補償の一環として汚染地域の土壌復元事業が行われ、2012年に完了した。

被害者団体の勝訴後も、イタイイタイ病の前段階であるカドミウム腎症の患者が救済対象から外れているという問題が残っていたが、2013年12月に三井金属鉱業は、カドミウム腎症の患者も対象に含めた補償を実施することを発表した。