2013年12月16日月曜日

ランゲルハンス島β細胞

読み方:ランゲルハンスとうベータさいぼう
別名:ランゲルハンス島ベータ細胞
別名:膵島β細胞
別名:膵島ベータ細胞

膵臓の細胞のうち、ホルモンの一種「インスリン」を分泌することで特徴付けられる細胞のこと。膵臓にある4種類のホルモン分泌細胞の一つである。

ランゲルハンス島β細胞は、血糖値の上昇に反応してインスリンを分泌する性質を持つ。インスリンは、血糖値を低下させる作用を持ち、血糖値の恒常性の維持に欠かせないホルモンである。血糖値上昇作用を持つホルモンが、グルカゴン、アドレナリン、糖質コルチコイドなど複数あるのに対して、血糖値低下作用を持つホルモンはインスリンのみである。そのため、ランゲルハンス島β細胞の機能不全は、糖尿病などの疾患に直接繋がることとなる。

糖尿病は「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分類されるが、いずれもランゲルハンス島β細胞の機能不全に関連する疾患である。1型糖尿病は、自己免疫反応によるランゲルハンス島β細胞の破壊を原因とする。2型糖尿病は、肥満や運動不足などに伴う血糖値の恒常的な増加を原因として、生体のインスリン抵抗性が高まるとともに、ランゲルハンス島β細胞のインスリンの分泌能が低下することによって発症する。また、インスリン抵抗性の増加は、糖尿病だけでなく、高血圧や高コレステロール血症などの生活習慣病の原因の一つとなることも知られている。

糖尿病患者の治療を目的として、ランゲルハンス島β細胞を体外から移植する試みが行われてきた。一般的な方法は、膵臓ごとランゲルハンス島β細胞を移植する膵臓移植である。より負担の少ない方法として、膵臓から分離されたランゲルハンス島をカテーテルで注入する「膵島移植」も行われているが、膵臓からのランゲルハンス島の分離が困難であり、コストが高いことが欠点とされている。この欠点を補うために、ES細胞やiPS細胞からランゲルハンス島β細胞を作製する研究が行われている。ES細胞やiPS細胞から作製された細胞には、インスリン分泌能が低下するという難点があったが、2013年に熊本大学の研究グループは、高いインスリン分泌能を維持したランゲルハンス島β細胞を作製することに成功した。

関連サイト:
Generation of Functional Insulin-Producing Cells From Mouse Embryonic Stem Cells Through 804G Cell-Derived Extracellular Matrix and Protein Transduction of Transcription Factors - Stem Cells Trans Med