2014年1月27日月曜日

糖鎖固定化金ナノ粒子

読み方:とうさこていかきんナノりゅうし
英語:SGNP
英語:Sugar chain immobilized Gold Nano Particle
英語:Sugar-immobilized Gold Nano Particle

粒子表面に糖鎖(糖が鎖状に連なった分子)を固定した、ナノサイズの金粒子のこと。鹿児島大学の隅田泰生教授を中心とした研究グループにより開発された。

糖鎖固定化金ナノ粒子は、タンパク質と糖鎖との相互作用を目視で確認することができるツールとして用いられている。タンパク質、細胞、ウイルスなどの中には、特定の糖鎖に特異的に結合するものがあるため、糖鎖固定化金ナノ粒子をタンパク質、細胞、ウイルスなどの単離、同定、検出などに利用することができる。

糖鎖固定化金ナノ粒子の水溶液は赤紫色をしているが、糖鎖と特異的に結合する物質を加えると、凝集が生成されるとともに水溶液が無色に変色し、目視で反応の有無を確認することができる。糖鎖固定化金ナノ粒子を用いた手法は、従来の手法と異なり、検出したい物質を事前に標識する必要がない点が優れているとされる。また、凝集の生成により物質が濃縮するため、検出感度が高まることも利点とされている。凝集した塊を遠心分離によって取り出したり、凝集塊から反応物質を定量的に回収することも可能である。

糖鎖固定化金ナノ粒子を利用して、インフルエンザウイルスの有無を超高感度で迅速診断する手法が開発されており、不顕性感染や潜伏期間中の患者の特定にも成功している。2006年に隅田泰生教授を社長として創立されたスディックスバイオテック社は、糖鎖固定化金ナノ粒子を用いた唾液からのインフルエンザウイルスの簡便検出法を開発し、2014年1月現在、5年以内の実用化を目指すとしている。

関連サイト:
SGNPを用いたウイルスの超高感度検出方法について - スディックスバイオテック