プロパガンダとは、プロパガンダの意味
プロパガンダ(propaganda)とは、意図をもって、特定の主義や思想に誘導する宣伝戦略のこと。大きな括りでは国家においての思想統制や政治活動、小さな括りでは宣伝広告や広報活動もプロパガンダに含まれる。語源はラテン語で、「繁殖する」「種をまく」「挿し木」「接ぎ木」などの意味がある。プロパガンダの語の由来
プロパガンダの語は、1622年のカトリック教会の布教において設立された、布教聖省(Sacra Congregatio de Propaganda Fide)に由来している。宗教的な思想を宣伝し、その思想に誘導するための手段として、プロパガンダという概念が出来上がった。プロパガンダという語自体は本来、中立的なものであったが、この宣伝活動は対立するプロテスタント教会には大いに脅威になったため、偏った考え方への誘導、情報操作による洗脳といった意味合いを持つようになり、プロパガンダは軽蔑的に使われる語に変わっていった。プロパガンダの種類、分類
プロパガンダにはホワイトプロパガンダ、ブラックプロパガンダをはじめいくつかの分類がある。ホワイトプロパガンダとは、事実に基づく、情報の発信源がはっきりしているものである。ブラックプロパガンダとは、虚偽、誇張のある、情報の発信源が不明、または故意に隠されているものである。プロパガンダと思想統制
思想統制の例は、戦争時に国民の戦意を高めるためにプロパガンダの理念を用いた国で多く見られる。第一次世界大戦時にはイギリス、ドイツ、フランスなどで国内外での宣伝活動が盛んに行われ、第二次世界大戦においては、日本(大日本帝国)でも諸外国で行われた宣伝活動の記録を踏まえ、情報操作・宣伝を行っていた。第二次世界大戦時、日本は中国やビルマにおいて「ブラック・プロパガンダ・ラジオ」を開局し、虚偽の放送で大衆操作を実行した。この事実と効果に注目したアメリカは、日本に対するブラック・プロパガンダの研究を進め、第二次世界大戦末期にはアメリカのラジオを日本軍に傍受させて情報操作を行い、軍上層部の混乱や分裂を招くなど、成果を上げている。プロパガンダとナチス・ドイツ
ナチス・ドイツでは、情報統制と組み合わせて大々的なプロパガンダで大衆操作を行った。ヒトラーの要請によりナチ党の宣伝全国指導者であったゲッペルスを国民啓蒙宣伝大臣に兼任したことにより、国家全体の宣伝活動が組織的に実施されることになったのである。ナチスのプロパガンダで重要な役割を果たしたのが、書籍、新聞、ポスター、教科書といった旧来のメディアに加え、ラジオや映画といった、新しいメディアの利用である。ナチ党特性ラジオが大量生産され、従来のラジオの四分の一程度の価格に抑えられたことで、特性ラジオは国民に普及した。映画においては、映画企業を国有化し、ナチの完全管理下に置いた。ニュース映画を本編の前に挿入して戦況の報道をコントロールする一方、コメディー映画を多く制作し、国民の意識を苦境から逸らしたり、ナチの目的であるナチ党への忠誠、ヒトラーへの崇拝、ドイツのナショナリズムを、娯楽を利用して効果的に浸透させることに成功している。政治的主張、内容を単純化し、あらゆる媒体で繰り返し唱え続けることで、宣伝効果を上げたのである。
近年におけるプロパガンダ
近年のプロパガンダは、大量の情報に手軽にアクセスできる環境にあって、情報による方向付けがより容易になっている。最近の例としては、ヘイトスピーチ問題などがある。新聞媒体においては、一方的な政治批判、糾弾が行われているケースや、対立する団体間で偽情報を流し、情報操作を行っている可能性が否定できない可能性について報道されている例もある。このようにプロパガンダにおけるメディアの役割は重要なポイントである。プロパガンダの語の用例、使い方
- 政府にプロパガンダ疑惑
- SNSによるプロパガンダ合戦
- 党の声明がプロパガンダであることに気づく
- ジャーナリズムとしてのプロパガンダ