2020年4月15日水曜日

プロトコル

英語:protocol
別名:プロトコール

プロトコルとは

プロトコルとは儀礼や典礼、議定書を意味する言葉で、平易な言葉にすれば約束事のこと。最近ではIT用語としてプロトコルの語が用いられるようになっているが、もともとはフォーマルな場面で忠実に従うべき流れや手順、段取りを示している言葉だった。語源を遡ると、古くはラテン語で内容が書かれている巻物を意味するprotocollumに由来していると考えられている。古代ギリシア時代では認証と日付が記載された議定書としてprotokollonという言葉が使われるようになった。protokollonは「最初の」を意味するprotoa、「のり」を意味するkollaの二つに分解することができ、最初に話し合って決まった内容をまとめた紙に表紙としてのり付けした公式書類としての意味を持っている。そして、protokollonが英語のprotocolになったといわれている。原義としては議定書だったものの、議定書を締結するためのフォーマルな段取りという意味でも使われるようになり、儀礼や典礼という意味が生まれた。さらに、ある目的を成し遂げるために必要な手順や流れという意味にも拡張されて通信業界におけるIT用語としてもプロトコルが用いられるようになった。プロトコルの語は、使用されている業界や分野、場面や文脈などによって解釈が異なる。

外交におけるプロトコル

外交におけるプロトコルとは国際儀礼のことを指し、プロトコールと記述することが多い。プロトコルは、国家間で交流や外交文書の交換、会食などの外交活動を行うときに遵守すべきルールで、相手国への敬意を示すためにも外交を推進するためにも不可欠なものである。国家間の儀礼上のルールとして世界的に標準が定められているものもあるが、会議や会食などの主催者によって参加国に通知されることも多い。プロトコルは、特定の二カ国の間で取り決められるものではなく、参加する全国家が平等に扱われるようにルールを定めるのが基本的な仕組みである。プロトコルは、国の大小に関わらず対等に扱い、ルールの内容は誤解を避けるように配慮して誰もが納得できるように仕上げることが求められる。

世界共通ルールとして典型的なプロトコルが先任者優先である。会議で掲げる国旗の並び順や自動車に乗る際の座席順などは右上を最上位として先着順に並べることがルールとなっている。2カ国協議で国旗を掲げる場合には相手国を右側、自国を左側とするのがルールだが、開催側から見て右側が相手国、左側が自国になるため、正面から見ると左側が相手国、右側が自国になるので注意が必要である。

IT用語としてのプロトコル

通信業界で用いられているIT用語としてのプロトコルは、近年になってから用いられるようになったもので、手順の意味合いの強い語である。通信におけるプロトコルとは、異なるシステムやソフトウェア、デバイスなどで通信をできるようにするために定められた規約のことである。IPやFTP、HTTPといったいくつかのプロトコルが開発されていて、通信する伝送路や伝達方法、伝達相手などによって選択されている。IT機器を用いて通信をするときには適切なプロトコルの種類を選び、定められている手順に従ってデータ通信をすることが求められる。

プロトコルに反した方法で通信をしようとするとエラーが発生したり、障害が発生したりすることになる。そのため、通信プロトコルを使用する全てのユーザーがプロトコルに従ってシステムの設計や通信ソフトウェアの運用をすることが求められている。遵守しなければならないという義務的な意味合いが強いのが、議定書や国際儀礼に通ずる部分である。