2020年4月15日水曜日

腎盂炎

腎盂炎とは

腎盂炎とは、腎盂と呼ばれる器官に何らかの細菌が侵入し炎症を起こす腎臓の病気。腎盂は、腎臓と尿管の中間にある器官で袋状になっている。腎臓から尿を腎盂に集め、膀胱へその集めた尿を送るという役割をもつ。

腎盂炎の症状

腎盂炎の症状は突然引き起こされるケースが多く、39度以上の発熱や悪寒などが見られる。また、腎盂炎では腎臓が腫れるため、わき腹から背中にかけて痛みが走ることがある。仰向けに寝ることが困難になることもある。

腎盂炎では、尿に白血球が混じって排出される。そのため、尿を見ると白く濁っているのを確認できる。個人差はあるが、排尿時に痛みが走ったり、残尿感があったりすることもある。

腎盂炎の原因

腎盂炎の原因は、細菌の上行性感染によるものである。腎盂炎を引き起こす細菌は、主に大腸菌や緑膿菌などグラム陰性桿菌と腸球菌である。特に腎盂炎の約9割を占めるとされているのが大腸菌による感染である。大腸菌は肛門やその周囲に付着していることが多く、それらが尿道から侵入し上行性感染を引き起こすと考えられている。腎盂炎は男性よりも女性に多い病気で、20代から40代までの若年層においては男女比は1対30と大きくかけ離れている。

腎盂炎が女性に多い理由として考えられているのは、陰茎のある男性と違って尿道口と肛門の距離が短いことにある。肛門周辺に付着している大腸菌が尿道口に入りやすく、上行性感染しやすい。同様に、女性は陰茎がない分、男性よりも尿道が短いため、細菌感染しやすいことも理由として挙げられる。しかし、50歳以降になると男女比が拮抗する。これは、前立腺肥大が原因とされている。

前立腺肥大では尿道が圧迫されてしまい、尿の流れが悪くなる。尿の流れが良ければ細菌を押し流すことができるが、尿の流れが悪くなることで細菌が上まで上りやすくなり感染してしまうリスクが高まる。前立腺肥大以外にも腎盂炎のリスクを高めてしまうものとして、尿道炎や尿路結石、膀胱尿管逆流現象などが挙げられる。女性の場合は妊娠も尿の流れを悪くしてしまうため、妊娠をきっかけに腎盂炎を発症してしまうケースも少なくない。また、細菌感染は免疫力の低下も発症のリスクを高める要因なので、糖尿病などの基礎疾患や、ステロイド剤の長期服用、抗がん剤など免疫力が低下している人も腎盂炎のリスクが高いと言える。

腎盂炎の治療

腎盂炎の診断では、尿検査や血液検査、レントゲン撮影などが行われる。腎盂炎と診断された場合の治療は、一般的には原因となっている細菌を判別して抗生物質(抗菌剤)を投与する方法である。腎盂炎には急性と慢性の2種類があるが、どちらも抗生物質の投与による治療が行われる。治療期間は症状の度合いによって異なるが、軽症の場合は1~2週間程度で改善することもある。