2020年9月17日木曜日

ホロタイプ

別名:正基準標本
別名:正模式標本
英語:holotype

ホロタイプとは、生物分類学の用語で、新種を初めて正式に報告する論文(原記載)の中で指定される、個体の標本のこと。「正基準標本」もしくは「正模式標本」ともいう。

ホロタイプは、発見・報告された個体が新種であることの物的証明であるだけでなく、新種として学名をつける際の基準としても、後に発見された個体が同じ種(新種)か否かを同定する際の基準としても、絶対的な重要性をもつ、唯一無二の個体である。

ホロタイプは1個体のみと決められている。2つ以上の個体標本がある場合、そのうち1つがホロタイプとなり、他はホロタイプに準じるもののホロタイプとは別扱いの「パラタイプ」と位置づけられる。

ホロタイプの「ホロ」(holo-)は、「全体の」「完全な」という意味の接頭辞である。パラタイプのパラ(para-)は「近似」「副」といった意味である。

ちなみに「プロトタイプ」の「プロト」(proto-)は「最初の」「原初の」といった意味であり、「プロトタイプ」自体は「試作品」「原型」などと訳されることが多い。ただしもちろん分類学の標本の区分には「プロトタイプ」という区分はない(ない)。