2020年10月13日火曜日

イノベーション

英語:innovation

イノベーションとは、イノベーションの意味

イノベーションとは、オーストリアの経済学者として知られるヨーゼフ・シュンペーターが考案した理論のなかで使った言葉であり、技術革新や新機軸、導入のことを指す。わかりやすくいうと、イノベーションは「新しい技術や考え方を導入して新たに価値を生み出す」ということである。日本では、政府刊行物である「経済白書」でたびたび取り上げられたことで、イノベーションという言葉が広く使われるようになった。イノベーションは日本では「技術革新」と訳されることが多いが、定義には技術以外の分野での革新も含む。

イノベーションの言葉には、新しいアイデアや仕組み、情報などを取り入れて「社会的な価値を新たに生み出す」や「社会や会社にとって有益な変化を起こす」といった意味もある。実際、それまで会社が抱えていた問題を解決できるような新たな手法を考えだすことなども、「イノベーションを起こす」と表現されることがある。イノベーションは、会社が安定した経営を維持していくために欠かせないアプローチとして認識されることが多い。企業間の競争が激しい状況のなか、順調に収益を上げて会社をより長く存続させるには、常にイノベーションをおこなって時代のニーズに合ったサービスや商品を提供する必要がある。

設備投資などに一定の費用をかけて新しい価値を生み出していくイノベーションのアプローチは、大企業はもちろんのこと、中小企業にとっても重要な経営戦略のひとつになっている。

イノベーションのジレンマとは

イノベーションのジレンマとは、ハーバード・ビジネススクールの教授であるクレイトン・クリステンセンによって提唱された考え方であり、巨大企業が持続的イノベーションと、破壊的イノベーションの板ばさみになって苦しむ状況を指す。簡単にいうと、持続的イノベーションをおこなう巨大企業が破壊的イノベーションをおこなった新興企業の勢力に圧倒されるということである。「昔有名だったあの企業は、イノベーションのジレンマによってここ数年で衰退した」などは、この言葉の使い方の一例である。

長年にわたって社会的な信頼を得てきた巨大企業は、熱心に顧客の意見を聞きながら従来のサービスを持続させようと努力することが多い。ただ、このような企業側の持続的イノベーションは、肝心の顧客にとっては現実にあまり魅力的でない場合もある。実際、破壊的イノベーションで新たな価値を生み出した新興企業のサービスや商品が魅力的だと、巨大企業側の努力が功を奏しないケースがでてくる。イノベーションのジレンマを抱える事例として多いのが、通信機器やカメラなどの光学機器である。このような製品は人気の移り変わりが激しく、技術革新によって日々新しい製品が生み出されている。

顧客の意見を聞いて古いタイプの製品の質を上げても、消費者を獲得し続けるのは難しい場合もある。わかりやすく表現すれば、イノベーションのジレンマは「古いものを改良すること」と「新しいものを一から作り出すこと」とのせめぎ合いとも言えるだろう。このようなジレンマを避けるために、企業側でもさまざまな対策を行っている。

5種類のイノベーション

ヨーゼフ・シュンペーターは、自分の研究で5種類のイノベーションを提唱している。1つ目のプロダクション・イノベーションは、新製品によって革新をはかるアプローチを指す。これまでなかったような新しい製品を開発することで、新たに社会に価値を提供するのがこのプロダクト・イノベーションの定義である。iPhoneやスマホの新機種などは、プロダクト・イノベーションの一例に挙げられるだろう。2つ目のイノベーションは、仕事の場に新しい生産方法を導入するプロセス・イノベーションである。従来とは違った生産ラインを導入して業務の効率をアップしたり、生産性を高めたりすることは、プロセス・イノベーションに該当する。

3つ目のイノベーションは、マーケティング・イノベーションである。このイノベーションは、新しい販路を開拓するなど、市場を新たに生み出すアプローチを指す。将来、顧客になってくれそうな見込み客を把握し、自社をアピールすることなどは、このマーケティング・イノベーションのひとつである。4つ目のサプライチェーン・イノベーションは、資源や原料の供給源を最適化して業務に活かすアプローチである。資源や原料の調達から製品を消費者に提供するまでのプロセスを一新することは、経営にも大きな影響を与える可能性がある。5つ目のイノベーションは、組織そのものをリニューアルするオーガニゼーション・イノベーションである。

このイノベーションは、プロダクション・イノベーションなどを現実に実行するための組織づくりのことを指す。業務提携や組織の再編などは、オーガニゼーション・イノベーションのひとつである。

ビジネス分野以外におけるイノベーション

イノベーションという言葉は、ビジネス以外のシーンでも広く使われている。たとえば、自治体では地域の活性化を目的とした取り組みを「イノベーション」と名付けて、セミナーの参加者を募ったり住民向けの学校を開いたりしていることがある。このようなイノベーションにも、ビジネス分野のイノベーションと同様に「社会的な価値を新たに生み出す」という意味がある。ただ、地域活性化のイノベーションの場合は、製品やサービスの代わりに、地域の住民による革新的な活動が価値を生み出す仕組みになっているのが特徴である。

セミナーや学校で地域に貢献できる人材を育成することで、よりよい街づくりを実現するのが地域活性化のイノベーションが目指すところと言える。このほか、社会福祉や不動産の分野でもイノベーションという言葉が用いられることがある。社会福祉の場合は、「福祉サービスを向上させて介護を受ける人の満足度をアップさせる活動」などを「イノベーションをおこなう」と表現することが多い。従来の介護のやり方を見直し、介護される人がより快適に過ごせるように工夫することなどは、社会福祉のイノベーションが提供する価値のひとつである。「不動産のイノベーション」も、「新しいアイデアや工夫で新たに価値を創造する」といった意味で使われる。

斬新な施工方法によって実現する快適な住まいや、そこで暮らす人の幸福感などは、不動産のイノベーションで生み出される価値のひとつと言える。