2020年11月11日水曜日

自尊心

自尊心とは、自尊心の意味

自尊心とは、自分で自分のことを誇らしく思う心を意味する。簡単にいうと、自分への高評価ということである。英語で自尊心は self‐respect、あるいは self‐esteem と表現できる。自尊心とよく似た意味の言葉に「自己肯定感」や「プライド」がある。自己肯定感は厳密な定義だと、自尊心に含まれている感覚だといえる。自己肯定感は、あくまで自分に評価されることで、自分を大切だと思える心の動きである。それに対し、自尊心は自己肯定感と、自己有用感が合わさって生まれる。自己有用感とは、他人に評価されて自分を大事に思える感情である。すなわち、人は自己肯定感の先に、自尊心を抱けるという仕組みである。

プライドも正確な定義では、自尊心と同じ概念ではない。自尊心は多くの場合、自分で自分を正しく評価した結果として抱ける感情である。そこには、実績や能力といった裏付けがともなう。しかし、プライドは自我が肥大した末の、ネガティブになりかねない感情である。自尊心はほとんどの場合、歓迎されるものであるのに対し、プライドは人生において邪魔となることもある。

なお、自尊心を育んで一人前の人間へと近づく行為を「自尊心を高める」という。逆に、自尊心の低い人は、他人といて卑屈な態度を取ったり、危険行為への抵抗がなくなったりする。自尊心を高められるかどうかは、育ってきた環境によるところも大きい。ある程度成長してからでも、学校や職場などでめざましい成果を上げられれば、自尊心は高まっていく。

自尊心の類義語、対義語

自尊心の類義語として、「自信」「自我」「自負心」などが挙げられる。自信は「自分を信じる感情」を意味し、細かい点で自尊心と意味が異なる。自尊心が成果や実績によって育まれていく一方、自信は根拠を伴わないことも多い。また、「自信過剰」といった表現があるように、否定的な文脈で使われるケースもある。次に、自我とは、「自分で意識している自分自身のあり方」である。自分が抱く、すべての感情、感覚、思考、すべてが自我の一部である。そのため、あくまでも自己評価の部分だけに関連している、自尊心とは違う。

そして、自負心は、実績や技能によって自分を誇らしく思うという部分が自尊心と似ている。しかし、自負心とは「自分の能力に責任を持つ」というニュアンスを含む。自負心は、「自分を大切に思う」という文脈で使われる自尊心と、使い分けるべきである。

自尊心には対義語もある。「劣等感」「自虐」「卑屈」などは、自尊心と逆の意味を持つ。劣等感とは要するに、コンプレックスである。自分に自信を持てず、低評価をつけてしまう心である。次に、自虐は、自分で自分を悪く触れ回る行為、あるいは、そうした思考を意味する。そして、「卑屈」は過剰に自分を低く見せる状態である。卑屈な人は、自分を攻撃しながら、他人にも嫌味な態度をとっていることが多い。卑屈の原因には、自尊心の低さが潜んでいる。それゆえ、自尊心が高まれば、卑屈な態度も直っていく可能性はある。

自尊心が高い人、低い人

自尊心が高い人物は、自分の能力や現状をありのまま受け止めている。そのため、不平不満を口にする機会が少ない。また、他人に対してもおおむね寛容である。自分の価値を把握しているので、他人の言葉を素直に解釈できる。言葉尻をとらえて怒ったり、不要な批判をしたりすることが少ない。その結果、人間的な余裕にもつながっていく。

自尊心の高い人間はリーダー職、教育係に向いている。他人から信頼されやすく、年少者からの良き手本にもなれるからである。こうした立場について、自尊心の高い人は謙虚になることはあっても、卑屈にはならない。適切な責任を感じながら、与えられたタスクを果たしていく。また、自分を肯定できているので、ミスを犯しても必要以上に落ち込まない。切り替えの早さも、自尊心の高い人の特徴である。

一方、自尊心の低い人は他人にも自分にも、攻撃的な面を見せる。自尊心の低い人はプライドが肥大しやすく、それでいて能力に自信がないので、他人の言動に敏感である。相手が無意識に発した言葉にも、ネガティブな意味を見出してしまう。また、自分が自分を評価できないように、他人もそう思っているのだと信じ込みがちである。そうした心理状態が続くため、自尊心の低い人は相手の態度を素直に受け取れない。感謝や思いやりを示す頻度が低いので、決して人当たりがよくない人間へと育っていく。総じて、自尊心の低い人はいつでも不満を感じており、人間関係でトラブルを起こしやすい。

自尊心の例文、使い方

自尊心を使った文では「自尊心を傷つけられる」という表現が有名である。すなわち、誰かに自己評価を否定される状態である。多くの場合、他人からの批判が理不尽であったり、的外れであったりする。ただし、正当性のない批判であっても、日常的に続けば当人の自尊心はどんどん低くなっていく。幼児期に虐待を受けた人間が、成長してから人間関係を上手く築けなくなる現象は、自尊心を傷つけられているからだといえる。

「自尊心を持つ」という言葉は「自尊心を高める」に似ているものの、「もともとなかったものを意識的に抱く」というニュアンスを含む。精神的な領域において、「持つ」とは「強く意識する」ということである。つまり、自分で自分を高く評価できるよう、考え方を変える行為を指す。

「自尊心を高める」という表現を「自尊心を育てる」と言い換える場合もある。意味として、両者はほとんど同じである。「育てる」とは地道に続けていくとのイメージを持つ言葉である。「自尊心を育てる」とは、自尊心が低い状態から継続的に努力して少しずつ高めていくことを意味する。

「自尊心を満たす」は、他人の自尊心を意図的に刺激し、自己肯定感を高めてあげることである。そのため、自尊心を満たすための言葉、行為は本心からのものとは限らない。相手の心を都合よく掌握しようと、でまかせを繰り出しているだけの場合もある。