2020年11月26日木曜日

おすすめ

別名:お勧め
別名:お奨め
別名:お薦め

おすすめとは、おすすめの意味

おすすめ(お勧め / お奨め / お薦め)とは、相手に推薦・推奨したいものがある際に使う「すすめる」に、敬意を示す接頭辞の「お」が付いた丁寧な表現である。「オススメ」というカタカナ表記を用いる場合もある。いずれの表記も、「相手にある行動をするように仕向ける」という共通の意味を持ち、人や物について良い点・優れている点を挙げて人にすすめる時に使う。推奨する対象の分類・分野ごとに、「勧」「奨」「薦」という3つの漢字で使い分けられる。「勧」は主に相手が良い行為をするよう推める際に使われ、使用・飲食・参加などの「行為」を促す場合などに用いる。相手の求めに相応しい人・品を勧める助言の意味を持ち、強制力のない提案として使われる。

「お奨め」は、主に商品やサービスなどの「品」を対象とした推奨を意味し、指定・強制などの強い意味は持たない。「お薦め」も具体的な対象を指し示す表現で、ある物事の候補として特定の人・品を挙げ、対象が採用されるように働きかける際に用いる。自身の体験に基づいて相手を説く提案の表現で、やや強い指定・強制の意味を含む。

「おすすめ」は漢字表記よりも強制力を緩めた表現であり、目上に対する丁寧語に用られる場合もある。「オススメ」は全表記の中で最も砕けた言い方であり、日常的な俗語表現として使われる。

おすすめで用いられる、勧・奨・薦の漢字

「勧」「奨」「薦」の漢字は、それぞれ独立した意味を持つ。「勧」は、「カン」「ケン」と読み、相手を励ます、良い方向に導くなどの意味を持つ。二字熟語には、相手の行為を良いことと褒め称える「勧奨(勧賞)」や、自身の物事を良いこととして教え、同じことを行うように誘う「勧誘」、相手が行うべき処置を公的に教えて勧める「勧告」などがある。「奨」は、「ショウ」と読み、相手を褒めて力づける、励まして助けるという意味がある。熟語には、人・品・物事などの優れた部分を挙げて人に推める「推奨」、ある行為・事柄を良いこととして、それを行うように促す「奨励」、相手の行為にむくい褒めて励ます「報奨」などが挙げられる。

「薦」は、「セン」と読み、複数ある事柄の中から特定の対象を選ぶ、人を特定の地位に押し押し上げるという意味がある。熟語には人物を対象とした表現が多く、特定の人・品の特に優れた部分を評価して採用を促す「推薦」、人を選んで適した地位・役職に就かせる「薦挙」などが挙げられる。漢字の音読みはそれぞれ異なる読み方を持つが、訓読みの場合は共通して「すすめる」と読む。すべて「進める」と同語源を持つ同訓異義であり、「相手にある目的を達成してもらうために、特定の方向へ動くように促す」という同義を含む。

「進」の熟語には、勧奨やに近い意味を持つ表現が多く、目上に対して意見を申し述べる「進言」や、ある物事を達成するように推し進める「勧進」がある。

ビジネスシーンにおける「おすすめ」の使い方

上司や社長などの目上に対する敬語表現としては、一般的に「おすすめ」の表記が用いられ、相手に対して上品に述べる丁寧語と繋げて使う。例を挙げると、「在る(ある)」の丁寧語である「ございます」と繋げ、「おすすめでございます」「おすすめの品がございます」など対象を含めて使う。漢字表記の場合は提案力のある「お薦め」を用いる場合が多く、自身の経験に基づく行為の提案であるため、「致します」など謙遜を示す表現の謙譲語と繋げる。さらに、「こちらを強くお勧めいたします」「自信をもってお勧めいたします」など、強い説得力を持つ表現と繋げることで、人を納得させるための「進言」として作用する。

「おすすめでございます」や「お勧めいたします」という言い回しは、敬語が連続している強い尊敬表現で、相手によっては不適切な表現となる。先輩や同輩など地位が近い相手に対しては、尊敬表現の弱い敬語を用いた「この品をおすすめします」「胸を張ってお勧めします」など、より平易な言い回しが適切である。会議・商談などのビジネスシーンでは、「推奨」「推薦」などのおすすめと同意義・類義の二字熟語を用いる場合もある。同意義には「この品を推奨いたします」「この方を推薦いたします」など特定の人・品を候補する表現が多く、個人的な背景・事情を抜いた事務的な表現として、整合性のとれた説明の締めとして使う。類語の場合は「弊社にご提案がございます」「僭越ながら助言いたします」など、逆に謙遜の意を込めて用いる表現が多い。

文書やメールで表記する場合は、漢字の使い分けにこだわらず、ひらがな表記で「おすすめ」と書くか、あるいは「推奨」「推挙」「進言」などの表現を用いたほうが無難である。別の提案表現に言い換える場合は、「~などはいかがでしょうか」という類義の丁寧語にする。相手が体験した対象である場合は「お気に召しましたか」という表現に言い換えることで、「相手に気に入って欲しいもの」を推奨できる。同意義の言葉としては他にも、「お奨め」を意味するIT・サービスの業界用語である「レコメンド(リコメンド)」、賞などの候補に推薦・指名することを指す「ノミネート」などが挙げられる。

おすすめの類語

おすすめの類語には、よりも強い推奨の意味を持つ「いち押し(一押し、一推し)」がある。「複数の選択肢から最も推奨したい対象」を提案する表現で、第一に推奨すべき対象に対して使われる。漢字の表記によって意味の違いは無く、カタカナによる「イチ押し、イチ推し」という表記揺れもあるが、いずれの表記も意味の違いや使い分けはない。同じく複数の中から一つだけを候補に上げる言葉として、特定の地位・役職に推奨するべき対象を指し示す「候補」、候補の中で最も優れた人物・商品などを指し示す「有力候補」「第一候補」、最も見込みの高い対象を表現する「本命」が挙げられる。

「候補」「本命」は共通して、「物事を実現できる可能性を秘めていること」を示し、目標の達成を成し遂げられる人・品に対する表現で、特定の限られた対象を抜擢する際に使われる。