2012年10月25日木曜日

レアアース輸出規制

読み方:レアアースゆしゅつきせい
別名:レアアース輸出規制問題
別名:レアアース輸出制限問題
別名:レアアース輸出制限

ハイテク産業における重要な資源である「レアアース」の総流通量の90パーセント以上を供給している中国が、日本をはじめとする世界各国に対して、レアアースの輸出を制限すること。

レアアースは電気自動車からスマートフォンまで、ハイテク産業に分類される多くの工業製品において重要な素材として利用されている。豊富な産出量を背景にレアアースを廉価で輸出できる中国は、1980年代から2010年代にいたるまでシェア90~95パーセントの寡占状態を維持してきた。

2000年代後半から、中国はレアアースの輸出量を抑制する傾向にあった。2010年には輸出量を大幅に制限することを発表したことで、世界各国で動揺が起こった。この動揺はレアアース・ショックと呼ばれた。

中国側の説明によれば、レアアース輸出制限の背景としては、環境問題や資源枯渇への懸念や、レアアース資源の秩序ある開発と持続的な利用などの面での課題があるのだという。

レアアースの入手について中国にほぼ依存していた日本でもレアアース輸出規制は波紋を呼んだ。2010年に尖閣諸島中国漁船衝突事件が発生した際には、中国はレアアースの日本への輸出を数日間停止するなど、一種の外交カードとしても使用している。

日本は中国のレアアース輸出規制を受けて、米国モリコープ、オーストラリアのライナスといったレアアース鉱床の採掘事業者と戦略的提携を結んだり、あるいは、レアアース代替技術の開発による脱レアアースに取り組んだり、といった試みを活発化させた。

2012年10月25日付けの産経新聞記事によると、2012年上半期の中国のレアアース輸出量は昨年の同時期の半分に下げ、過去10年間で最低の水準に落ち込む見込みだという。

関連サイト:
中国によるレアアース対日輸出停止問題 - 外務省(平成22年9月25日)
中国のレアアース輸出制限問題について - 経済産業省(平成22年11月16日)
中国、レアアース輸出最低 日本向け急減、資源戦略裏目 - MSN産経ニュース 2012年10月25日