2012年6月5日火曜日

超光速ニュートリノ

読み方:ちょうこうそくニュートリノ

名古屋大学の小松雅宏准教授らが参加する国際研究チーム「OPERA」により2011年9月23日に発表された、光よりも速く移動したという実験結果が認められたニュートリノ。2012年になって計器類に不備があった可能性も指摘されており、その存在は2012年2月時点では確定していない。

OPERAは、素粒子の一種であるニュートリノのうち、高エネルギーの「ミュー型ニュートリノ」の速度を計測する目的で、欧州合同原子核研究機構(CERN)からイタリアのグランサッソ国立研究所までニュートリノの粒子を飛ばす実験を行った。スイスからイタリアまでの距離は約730キロメートルで、高精度GPS(全地球測位システム)によって従来にない精密度で速度計測をする実験だった。

実験の結果として、ニュートリノの到達が観測されるまでに要した時間が光を60ナノ秒ほど上回り、「ニュートリノが光よりも0.0025パーセントほど速い」という観測結果が得られた。同研究チームは半年にわたって検証を行ったが、実験結果はやはり間違いのないものだったという。

その後、2012年2月23日に、実験に使用した機器類の時計が誤作動を起こしていた可能性があること、および、光ファイバーケーブルに緩みがあり遅延が発生していた可能性があることが発表された。

2012年5月に超光速ニュートリノの検証が実施されたが、再実験では光より高速なニュートリノは観測されなかった。検証に当たった研究グループは6月8日に、当初の実験結果は誤りであったとして、当初の発表内容を正式に撤回した。

関連サイト:
OPERA experiment reports anomaly in flight time of neutrinos from CERN to Gran Sasso - CERN(英語)
高エネルギーのミュー型ニュートリノの速さを世界最高精度で精密に測定 - 名古屋大学発 プレスリリース 平成23年9月23日(PDF)
ニュートリノ「光より速い」撤回へ 名古屋大など国際チーム、再実験で差みられず - MSN産経ニュース 2012年6月2日