2013年9月16日月曜日

モバイル管制

読み方:モバイルかんせい

JAXA(宇宙航空研究開発機構)がイプシロンロケットにおいて初めて導入した、ノートPCのようなモバイル端末だけでロケットの発射管制を可能とする技術。

モバイル管制の特徴は、打ち上げ前の(発射台にロケットを設置した後の)最終点検をコンピュータが自律的に行う点である。点検作業に必要となる用意は基本的にはノートPCとネットワーク接続環境のみとなる。モバイル管制は、多くの人員が手間をかけて点検を行っていた従来の発射管制の手法に比べて、行程も人手も劇的に削減できる。ひと月半からふたつ月弱ほどかかっていた点検期間は1周間程度まで削減されている。

イプシロンロケットの初の打ち上げは、当初2013年8月22日に予定された。8月8日の時点で、点検中に配線ミスが見つかり、打ち上げ実施が27日に延期された。8月27日に打ち上げが行われたが、発射の19秒前に異常が感知されて発射管制システムが自動停止した。打ち上げは中止、再度延期された。

原因調査の帰結として、管制側のシステムとロケット側の制御装置との間で通信の遅延が発生し、0.07秒程度ほど制御信号のズレが生じていたことが異常として検知されたらしい、と発表されている。

イプシロンロケットの打ち上げは9月14日にあらためて実施された。打ち上げは成功、積載していた惑星観測衛星「SPRINT-A」を予定の軌道に無事投入した。

関連サイト:
新型ロケットで実現する世界初のモバイル管制 - JAXA宇宙航空研究開発機構