2014年1月30日木曜日

多能性細胞

読み方:たのうせいさいぼう
別名:万能細胞
別名:多能性幹細胞
英語:pluripotent cell
英語:pluripotent stem cell

生体の様々な組織に分化する能力(分化万能性)を潜在的に持つ細胞。具体的には、内胚葉、中胚葉、外胚葉の全てに分化可能である細胞を指す。

「多能性」や「万能性」の語は、「全能性」とは区別されて用いられている。「全能性」を持つ細胞は受精卵および胞子であり、それらの細胞は真に全ての組織に分化し、生物の個体を形成することが可能である。一方、多能性細胞は胎盤などの胚体外組織に分化することができないことから、単独で個体となる能力(個体構築能)は持っていない。

動物の発生初期には、胚の一部の細胞が多能性を持っており、それを取り出して培養した細胞は「胚性幹細胞(ES細胞)」として知られている。また、分化を終えて成熟した体細胞から、遺伝子導入などによって多能性細胞を人工的に創製することができることも明らかにされており、その細胞は「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」と命名されている。

2014年1月の「Nature」誌の論文で、特定の外的刺激により体細胞が初期化され、「刺激惹起性多能性獲得細胞(STAP細胞)」という多能性細胞になることが発表された。それと同時に、STAP細胞が胎盤や卵黄膜などの胚体外組織にも分化可能だとした別の論文も「Nature」誌上で発表され、STAP細胞が全能性を持つ可能性も示唆されたが、2014年3月現在、それらの発表内容の真偽については疑問を呈する意見もある。

関連サイト:
Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency - Nature