2014年1月30日木曜日

豚流行性下痢

読み方:ぶたりゅうこうせいげり
別名:ブタ流行性下痢
英語:porcine epidemic diarrhea
英語:PED

コロナウイルスの一種、豚流行性下痢ウイルス(PEDV)によって引き起こされる、ブタおよびイノシシの感染症。家畜伝染病予防法で届出伝染病に指定されている。

豚流行性下痢に罹患したブタは、黄色の水っぽい下痢や激しい嘔吐などを起こし、その症状は同じく届出伝染病に指定されている伝染性胃腸炎(TGE)に酷似している。若いブタでは、重症化すると3-4日で死に至ることもあり、特に生後10日までの哺乳豚では死亡率が100%に達することもある。肥育豚や育成豚は重症化することが少なく、不顕性感染の例も見られる。

豚流行性下痢は、感染豚の糞便を介して経口感染することが知られている。新たに導入された母豚やその子豚を介した感染環が形成されることにより、養豚場にウイルスが常在化する例もあるため、感染の予防や拡大阻止にあたっては、衛生管理が特に重要となる。豚流行性下痢に対してはワクチンが開発され、1996年に承認されているが、これは接種した母豚の乳を飲んだ子豚の感染予防や症状軽減に効果があるワクチンで、母豚への感染を予防するものではなく、主にウイルスの常在地で用いられている。

豚流行性下痢はしばしば大流行を起こし、中国では2010年以降、100万頭以上が死亡したといわれている。日本国内では2006年に香川県で発生が見られた後、長らく確認されることがなかったが、2013年9月に沖縄県で報告されたのを皮切りに、九州を中心に各地で報告された。2013年9月から2014年1月までに、全国で約3万頭が感染し、5千頭以上が死亡したとされている。動物衛生研究所による遺伝子解析の結果、2013年から流行したウィルスの株は、同年に米国や韓国で流行した株と近縁であることが明らかになった。

豚流行性下痢(PED) - 動物衛生研究所
豚流行性下痢(PED)の発生について - 鹿児島県