英語:Anti-balaka
中央アフリカ共和国で活動する、主にキリスト教徒やアニミストからなる武装組織。
アンチバラカは、2009年にザラキナ(zaraguinas)と呼ばれる武装強盗団に対抗する目的で結成され、当初は構成員としてイスラム教徒も含まれていたとされる。その後、2013年3月に、イスラム系武装組織のセレカが中央アフリカの首都バンギを制圧し、権力を掌握して恐怖政治を行うと、アンチバラカは反政府組織、反イスラム組織としての様相を帯びることになった。
中央アフリカの大統領に就任したセレカの指導者、ミシェル・ジョトディアは、公式にはセレカの解散を宣言したものの、元セレカの構成員の多くは武装解除を拒み、各地で殺人や略奪などの行為を繰り返したため、アンチバラカとセレカの抗争は実質的に継続することとなった。
2014年1月にミシェル・ジョトディアが大統領を辞任した後、アンチバラカは勢力を拡大し、セレカの元構成員をはじめとするイスラム教徒を各地で暴行、虐殺していることが報じられた。2014年2月には、新たに暫定大統領に選出されたカトリーヌ・サンバパンザが、アンチバラカと旧セレカの両者に対して停戦を呼びかけたが、その直後に虐殺が行われるなど、事態の収拾は困難とみられた。2014年2月に国際刑事裁判所(ICC)は、中央アフリカで「人道に対する罪」が行われている可能性があるとして捜査を開始したが、捜査対象にはアンチバラカと旧セレカの構成員の両方が含まれていると考えられている。
なお、「バラカ」は現地語でマチェーテ(鉈)または剣を意味し、「アンチバラカ」はその攻撃を受けても不死身であることを表しているとされる。