2014年2月6日木曜日

海の聖域構想

読み方:うみのせいいきこうそう
英語:marine sanctuary
別名:海の聖域

パラオのトミー・レメンゲサウ大統領が推進している、自国の排他的経済水域(EEZ)における商業目的での漁業を一切禁止するという構想。

パラオは2009年に、自国の排他的経済水域内で漁船が違法操業を行った事件をきっかけとして、排他的経済水域をサメの保護を目的とした「サメの聖域(shark sanctuary)」とすることを宣言した。のちにグアム、マーシャル諸島、マリアナ諸島、ミクロネシア連邦も排他的経済水域の「サメの聖域」化を宣言しており、その総面積はオーストラリアの国土面積の3分の2ほどに及んだ。海の聖域構想は、サメの聖域に続き、サメだけでなくジュゴンやクジラなども含めた全ての海洋生物とその生息環境を保護する構想として、2010年頃から検討されている。

パラオの国土面積は、全ての島を合わせても日本の屋久島ほどに留まるが、排他的経済水域は約63万平方キロメートルに及び、フランスの国土面積(約67万平方キロメートル)に匹敵する。パラオの排他的経済水域では2014年現在、日本、台湾、中国などの漁船が操業しており、海の聖域構想が実現した場合、日本の漁業にも影響が及ぶことが懸念されている。商業的漁業が禁止されると、パラオはマグロの輸出などによる収入を失うことになるが、ホエールウォッチングやスキューバダイビングなどを目的とした観光客は、より増加すると見込まれている。

ちなみに、南極海周辺には国際捕鯨委員会により「南極海クジラサンクチュアリ」が設定されており、領域内での捕鯨が禁止されている。

関連サイト:
Palau Marine Sanctuary