読み方:あんじゅうこんきねんかん
別名:アンジュングン記念館
別名:安重根義士記念館
英語:安重根义士纪念馆
中国黒竜江省のハルビン駅に2014年2月に開館した、安重根を功績者として讃える博物館。ハルビン市の出資により建設された。
安重根は1909年に、日本の初代首相、初代朝鮮総督を務めた伊藤博文を殺害し、のちに死刑となった人物である。安重根に対する評価には、日本と中韓の間で大きな隔たりがあり、中韓では安重根を「抗日義士」などと称して英雄視する向きが強い。安重根記念館は、事件が起こったハルビン駅の構内に建設され、殺害現場となったプラットホームにも、安重根の「義挙」を讃える看板が設置された。
安重根記念館の建設は2013年6月の中韓首脳会談で、韓国の朴槿恵大統領が中国側に強く働きかけを行ったことにより実現したとされている。中国はそれ以前は、日本との外交摩擦を懸念し、安重根に対する積極的評価は行ってこなかったとされる。中韓首脳会談後、中国政府が方針を変更し、韓国との協力関係のもとで安重根記念館の設立を推進したのは、安倍晋三首相の靖国神社参拝などに関連する日中関係の悪化が影響していると見られている。
2014年1月に菅義偉官房長官は安重根記念館に対する日本側の抗議が受け入れられず、開館に至ったことに関連して、安重根を「死刑判決を受けたテロリスト」と認識する見解を発表した。菅官房長官のこの発言に対して、中韓の政府やメディアなどは強く反発した。続けて2014年2月に日本政府は、安重根記念館を「北東アジア地域の平和と協力関係の構築に資するものではない」と見なして遺憾の意を表明するとともに、安重根を犯罪者とする政府見解を改めて示した答弁書を閣議決定した。
なお、「安重根義士記念館」の名を冠する施設は他にもあり、1970年に韓国ソウル特別市に建設されている。