2018年12月18日火曜日

妊婦加算

読み方:にんぷかさん

医療機関において妊婦を対象に医療費(受診料)がいくぶん上乗せされる制度。2018年4月に開始されたがあまり周知されておらず、数ヶ月後に大いに物議を醸すこととなった。

妊婦加算は診療報酬の改定に伴い新設された項目であり、根本的には、妊婦が安心して出産を迎えられるように医療環境を整えるという意義にもとづく施策である。

妊婦の外来診療には、胎児への影響を顧慮した丁寧な診療や処方が求められる。従来は、妊婦の診療を遠ざけ産婦人科での受診を促すような医療機関もあり、しかし産婦人科では当該診療科の診察がままならない場合もあったりして、どっちつかずの状況で妊婦が不安に陥る場合もあったという。その意味で、妊婦加算は診療報酬を上乗せすることで妊婦の診察に積極的な医療機関を増やす制度とも言い得る。

しかしながら、妊婦加算はどちらかといえばひっそりと実施され、当時マスメディアにより大きく取り上げられることも多くはなかった。9月頃にTwitter上で妊婦加算の話題が爆発的に拡散し、マスメディアにも取り上げられ、多くの人の知るところとなった。ウェブ上では「当の妊婦もしらないうちにひっそり施行された」という印象を持つ人が大勢を占め、「妊婦税」「妊娠税」のような仇名がつき、さらには「妊婦を優遇するべき所ではないか」「少子化を促す制度か」といった批判の声が噴出した。

実際、コンタクトレンズの処方のように明らかに妊婦か否かが無関係な診療においても妊婦加算が適用されている、というような問題も生じていたという。

2018年12月半ば、厚生労働省は妊婦加算の制度を凍結することを決定、会見を開いて公表した。

関連サイト:
厚生労働省 根本大臣会見概要 H30.12.14