2020年2月20日木曜日

ノーマライゼーション

英語:normalization
別名:ノーマリゼーション

ノーマライゼーションとは

ノーマライゼーションとは、社会福祉の分野において、障がいの有無や性別、年齢の違いなどによって区別をされることなく、主体的に、当たり前に、生活や権利の保障されたバリアフリーな環境を整えていく考え方を意味する語である。ノーマライゼーションを簡単に言うと、何らかの障がいや違いがあることを個性として捉え、すべての人が自分の意思で社会に参画する状況・意識を当然のものとして考えようということである。

厚生労働省でもノーマライゼーションの理念に基づき、障がい者の自立と社会参加の促進を図る施策を行っており、「障がいのある人はこれ」と福祉サービスを限定して押しつけるのではなく、利用者自らが介護や看護などの福祉サービスを選択できる取り組みを行うことで、障がい者の主体性を尊重するようになっている。

ノーマライゼーションの語源である英語の「normalization」には、「標準化・正常化」という意味がある。「違いのあることが標準(当たり前)にしよう」という、社会福祉におけるノーマライゼーションの理念は、この「normalization」に由来する。

ノーマライゼーションの歴史は、「1959年法」と呼ばれるデンマークの「知的障害者福祉法」に始まる。この法律の中にはじめて「ノーマライゼーション」という言葉が登場したためで、この1959年法はノーマライゼーション法と呼ばれることもある。

ノーマライゼーションを提唱したのは、デンマークのニルス・エリク・バンク ミケルセン(N.E.Bank-Mikkelsem)であった。バンク ミケルセンは、知的障がい児の親の会の活動に1951年から取り組み、障がい者の親たちと活動した成果が1959年法であると言われている。

ノーマライゼーション8つの原理

ノーマライゼーションは、スウェーデンのニィリエ(Bengt Nirje)によって「8つの原理」として取りまとめられた。ベンクト・ニィリエは、ノーマライゼーションの理念を実現させるための具体的な指針として、「ノーマライゼーション8つの原理」を策定した。

  1. 一日のノーマルなリズム
  2. 一週間のノーマルなリズム
  3. 一年間のノーマルなリズム
  4. ライフサイクルにおけるノーマルな発達経験
  5. ノーマルな個人の尊厳と自己決定権
  6. その文化におけるノーマルな性的関係
  7. その社会におけるノーマルな経済水準とそれをえる権利
  8. その地域におけるノーマルな環境形態と水準

ノーマライゼーション8つの原理が満たされたとき、ノーマライゼーションの理念は実現するとしたベンクト・ニィリエ。この原理を具体的なスローガンにすると、下記で示すような内容になる。

  • 障がいがあるからといって、家に閉じ込めらるのではなく、当たり前に学校や会社に行きましょう。
  • 障がいがあるからといってスプーンだけで食事を強制されることはなくしましょう。
  • 自分の食べたいときに食べたいものを食べましょう。
  • 週末は楽しい集いに参加して、月曜日になれば職場や会社に行きましょう。
  • 単調な生活を繰り返すのではなく、季節ごとの様々な文化、活動を楽しみましょう。
  • 年齢によって抱く興味や責任も変化するでしょう、その当然の過程をふんでいきましょう。
  • 職業も住むところも自分の意思で決めましょう。
  • 性に興味を持ち恋愛をし、結婚をしましょう。
  • 生きていくために必要な経済的な保障を得ましょう。
  • 障がい者だからといって施設に住むことを強制されず、地域の人たちと共に生きられる普通の家を選びましょう。

ノーマライゼーションの具体例

ノーマライゼーションの実現に向けて、障がいを持つ人たちに社会的な役割を与え、施設に限定されない生き方をできるようにした取り組みが行われている。教育現場での障がい者と健常者の関わり合い方については、3つの考え方に基づいた取り組みが存在する。 

インテグレーション(統合教育)とは、「障がい者と健常者が違うということを理解した上で同じ場所で同じ教育を受ける」という意味であり、この考え方によって、障がい者であっても養護学校に限定されず、普通学級での教育を受ける権利が浸透するようになった。

メインストリーミング(主流化教育)とは、「健常者の通う学校に障がい者の生活を置く」という意味である。同じ社会(学校)の中に障がい者と健常者の区別がない環境があるという点で、ノーマライゼーションの理念実現に向けた取り組みの一つとして考えることができる。

インクルージョン(包括教育)とは、メインストリーミングをさらに拡張した考え方で、「障がい者が学校の中で過ごす時間のほとんどを、普通学級で過ごす」という意味である。障がい者用に配慮された特別学級での授業以外の日常を、普通学級の児童たちと過ごす。このインクルージョンが学校内で行われることで、日常の生活のなかに、障がいを持つ者と健常者とが当たり前に存在するのだという概念が生まれ、真のノーマライゼーションが実現してくと言われている。

ノーマライゼーションに関連するWebサイト