デポジットの意味、語源
デポジット(英: deposit)とは、あるサービスを利用する際に、そのサービスの提供者に一旦預けておき、のちに返却もしくは別の支払いに充当される金銭のこと。「デポジット」は、英語で保証金、預金、供託金などを意味する名詞depositに由来する語である。英語depositは、降下することを意味する接頭辞de-と、置くことを意味するpositから成る語で、「下に置くこと」が原義である。
「デポジット」の言い換え
「デポジット」は、「預かり金」「預かり保証金」などということもある。国立国語研究所の「『外来語』言い換え提案」では、「デポジット」をわかりやすく言い換える場合は「預かり金」「預かり金払い戻し」などとすることが提案されている。デポジットの例、およびデポジットがいつ返ってくるか
デポジットは、典型的には、コインロッカーを含む荷物預かりのサービスにおいて、荷物を預ける際に一旦いくらか支払い、その荷物を受け取る際にあわせて返却される金銭などがこれにあたる。缶・瓶入りの飲料や、専用の容器で販売される食品では、販売価格にデポジットがいくらか上乗せされており、容器を返却するとデポジットが返金されるものがある。この方式を「デポジット方式」、この制度を「デポジット制」「デポジット制度」といい、容器の使い捨てを防いで環境への負荷を減らす効果があるとされる。
デポジット制のうち、法令で義務付けられたものを「強制デポジット」、民間で自主的に行われるものを「自主的デポジット」「ボランタリーデポジット」という。強制デポジットは、1953年にアメリカのバーモント州で飲料容器を対象に実験的に導入されたことに始まり、80年代から90年代にかけて北米および欧州に普及した。アジアでは、台湾が1992年からペットボトルを対象とした強制デポジットを実施している。
日本では、デポジット方式は古くからビール瓶において自主的に導入されているが、その他の容器では一部の地域での導入にとどまっている。一部の地域でのみ実施されているデポジット制を、特に「ローカルデポジット」という。
SuicaやICOCAをはじめとする交通系ICカードにおいても、一般にデポジットが導入されており、ICカードの購入時にデポジットを支払い、ICカードを返却するとデポジットが現金で返金される仕組みとなっている。なお、Suicaの場合、手持ちのSuicaカードをモバイルSuicaに移行した場合にも、当該のカードを返却することでデポジットが返金される。また、手持ちのSuicaカードをApple PayのSuicaに移行した場合には、デポジットはApple PayのSuicaの残高として追加されることにより返金される。
通行料金が金融機関口座から引き落とされるETCパーソナルカードでは、有料道路の利用額に応じてデポジットを預託する必要がある。このデポジットは、有料道路の料金の支払いには充当されず、カードの解約時に返金される。
ホテルなどにおけるデポジットおよびデポジットがいつ返ってくるか
航空券やレストランなどの予約時や、主に海外でホテルなどの宿泊施設やレンタカーなどを利用する際、また主に海外で賃貸借契約を取り結ぶ際に保証として支払う金銭もデポジットという。これらは、返金される場合と、支払いに充当される場合とがある。一般に、中国を含む海外のホテルでは、チェックイン時にデポジットを預ける必要がある。これはクレジットカードで支払うのが一般的であるが、クレジットカードがない場合、現金で支払える場合もある。実際の手続きとしては、ホテル側はクレジットカードの控えを取るだけであることも多い。デポジットは、飲食費や電話代など、ホテルで宿泊費のほかにかかった費用があればその支払いに充当され、チェックアウト時に清算される。なお、国内ホテルでは、デポジットを要求されることはまれである。
「デポジット」の例文
- デポジットを請求する
- デポジットを返金する
- デポジットの払い戻しが滞る
- デポジット料金
(執筆:稲川智樹)