2020年4月28日火曜日

超過死亡

英語:excess mortality
英語:excess death

人口動態統計などを用いて算出された死者数の予想値を、実際の死者数が上回る(超過する)こと。予想された以上に人が死亡している状況。および、その超過の程度をインフルエンザ(流行性感冒)の流行・影響の大きさを測る指標として用いる考え方。

超過死亡において用いられる「予想値」とは、統計データから妥当に算出される死亡者数であり、すなわち「インフルエンザが流行していなかった場合」に実現されたはずの死亡者数である。インフルエンザが流行すると実際の死亡者数が予測値を上回る。予測と実際の乖離の程度が、社会にインフルエンザがもたらず影響の程度として捉えられる。

超過死亡の算出において扱われる死亡者は、死因を問わない。各死亡者が直接的か間接的にインフルエンザの影響で死亡したとは限らない。これが却って、インフルエンザが遠因となって持病が悪化し命を落としたような事例を取りこぼさず、正しく影響に含めることに寄与している。

もし、インフルエンザの流行が完璧に阻止できたとすれば、超過死亡の値は限りなくゼロに近づくはずである。

超過死亡の概念は、世界保健機関(WHO)が1970年代に提唱した。日本では90年代終盤以降、国立感染症研究所(NIID)によって日本向けに最適化された評価モデルが導入されている。

関連サイト:
インフルエンザ・肺炎死亡における超過死亡について ― NIID 国立感染症研究所