2022年12月5日月曜日

弊社

「弊社」とは、「自分の会社・自分が所属する会社を指すへりくだった表現(謙譲表現)」の意味で用いられる言葉である。会社としての一人称であり謙称。「小社」ともいう。

「弊社」は、社外の人間に対して「我々の会社」を指す際に用いる表現である。謙遜の意味合いが不要な場面では主に「当社」が用いられる。

会社だけでなく神社や結社なども「弊社」を用いる。銀行は「弊行」、学校は「弊校」、店舗は「弊店」。

弊社の語源

弊社の「弊」の漢字の意味は、「よくないこと、習慣的な悪さ」「自分の物に冠して、謙遜の意を表す」である。前者の意味で使用される例としては、弊害(悪い害)や弊政(悪政)などが挙げられる。後者の意味としては、自分の家をへりくだった表現の「弊家」「弊宅」といった語が挙げられる。

弊は、「よくない」という意味合いから派生し、相手の会社に対して自社が格下であることを強く表現でき、控えめでかしこまった態度を示すことができる。社外の人間との会話や電子メール、正式文書などさまざまなビジネスシーンで使用される言葉である。「小社」という表現は、どちらかというとメールや文書など、主に書き言葉で使用されるケースが多い。

他には、口頭の場面では「弊方」という表現もある。自分側の組織を指すへりくだった言い方で、「我々」を意味する語である。

弊社と当社、貴社、御社の違い

弊社と似た表現に、「当社」「貴社」「御社」という言葉がある。当社は、弊社と同様に「我々の会社」を意味する言葉で、「会社」の丁寧語である。へりくだることなく対等な関係を示すニュアンスが含まれており、「弊社」とは使用するシーンが異なる。特に自社内で使用する場合には当社を使用するのが一般的である。たとえ上司との会話であっても、自社内では「当社」を使用する。対等な関係という点で、自分の会社を同業他社と比較するときも「当社製品はA社製品と比べ、性能の点で特徴がある」のように使用することができる。

貴社と御社は、社外の人間に対し「相手の会社」を表す言葉である。貴社は、書き言葉として、主にメールや正式文書などで用いられる。正式文書の冒頭・締めの言葉として「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」「末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます」 と用いるなど、使用機会は多い。

御社は、通常口頭で使用する。文書内に記載しても問題ないとされてはいるが、メールや文書内では貴社の方が適切である。弊社や当社、貴社、御社などの言葉は、ビジネスシーンにおいて適切に使用することが望ましい。

弊社の語の例文、使用例

文書の場合
  • 日頃より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
  • 弊社は12月29日から1月3日までの間、年末年始のため休業とさせていただきます。
  • 平素は格別のお引立てを賜り厚くお礼申し上げます。さて、この度弊社事務所は左記(下記)に移転することになりました。
  • 本メールは弊社サイトからお問い合わせいただきました方へお送りしております。
口頭の場合
  • 当ブースでは弊社商品をご案内いたしております。
  • 先日は弊社までお越しくださりありがとうございました。
  • 弊社と致しましても、問題はないという認識をしております。