別名:社会的距離
英語:social distance
ソーシャルディスタンスは「人と人との間の(物理的な)距離」を意味する言葉である。2020年現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の飛沫感染のリスクを低減するために意識するべき要素として言及される機会が多い。
ソーシャルディスタンスという概念が登場する言及機会は、「感染症の飛沫感染リスクを抑えるために、あまり人と近寄り過ぎず、常に一定以上の距離を確保するように意識しましょう」と呼びかける場面である。これは日本政府が提唱している「3密の回避」を実現するためにも重要である。
「3密を回避するために人を近づきすぎず距離を取る」という行動は、つまり「相手との距離」そのものではなくて「距離を取るという行動」を指す場合は、「ソーシャルディスタンス」ではなく「ソーシャルディスタンシング」(社会的距離の拡大)と呼ばれることが多い。ただし通俗的には両者の区別が意識されずに用いられていることもある。
新型コロナウイルス感染症は《飛沫感染》が主な感染経路のひとつと考えられている。できるだけ飛沫感染を抑えるために実施できる手軽な方法として、飛沫が到達しにくい距離まで遠ざかるという方法が含まれる。このため、新型コロナウイルス感染症の対策としてソーシャルディスタンスの概念が重視される。
飛沫感染のリスクを抑える方法としては「そもそも飛沫を飛ばさない」ことも重要である。マスクの着用や、せき・くしゃみをする際に口元を袖で覆うといった動作は、飛沫を飛ばさないための工夫として効果が期待される。
なお、2020年5月時点の厚生労働省の見解では、新型コロナウイルスは飛沫感染と接触感染が主な感染経路と考えられている。接触感染のリスクを抑えるためには、まめに手を洗う、手に触れる対象物をまめに清掃・消毒する、手を口元にやる癖があれば意識して抑える、といった対策が推奨される。
飛沫感染対策としてのソーシャルディスタンスが具体的にどの程度の距離であるか、特に統一的な基準があるとは言いがたい。時と場所によって取りうる距離も違ってくる。平板な指針としては「行動に支障がでない範囲でできるだけ」のように括るほかない。
日本語ではソーシャルディスタンスは「社会的距離」と訳されることが多い。ソーシャルディスタンスは、「個人が《自分のパーソナルスペースを侵害された》という意識を抱かずに済む十分な対人距離」という意味で用いられる語でもある。この意味におけるソーシャルディスタンスは、相手との関係によっても距離が違ってくる。親しい間柄ほどソーシャルディスタンスは近く(距離が短く)なり、全く面識がなかったり警戒心を抱いていたりすると距離が開く。