別名:クラスタ
クラスターとは、クラスターの意味
クラスターとは、もとはブドウの房の意味であり、そこから転じて、ある属性に基づくグループ化された集団を意味する語のこと。具体的には、年齢や性別、居住地域などの人口統計学に基づくデータや、趣味、生活スタイル、思想などの心理的側面に基づくデータからグループ分けした集団を指す。日本語では、「群れ、集団、塊、房」と表現する。クラスターの語はIT分野や天文学の分野で使われている
クラスターは、さまざまな分野で用いられる用語である。IT分野では、複数のコンピュータを統合させて、1つのシステムとしてまとめることをクラスターという。「クラスターあたりの空き容量を増やす」など、ディスク装置のメモリの単位としても使用される。日本の大学においては、学部間で関連性のある科目をまとめたものをクラスターと呼んでいる。大学におけるクラスター制度とは、さまざまな分野を横断的、かつ専門的に学べる仕組みを指す。
天文学においては、星が集合している状態を「スタークラスター」と呼ぶ。日本語の「すばる」に当たるものもスタークラスターの1つである。まばらに集まっている星をオープンクラスター、球状に丸く集まっている星団をグローブラークラスターという。
クラスターの類語には集団、固まりなどがある。英語の cluster の類語は group である。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)におけるクラスターとは
2020年に流行した新型コロナウィルス感染症(COVID-19)など、疫学におけるクラスターとは、ある時間、またはある地域内において、疾患や障害の発生率が異常な高さに及ぶ集団をいう。単に患者集団ともいう。特定の場所や人々のグループにおいてクラスターが発生することを「クラスター化する」という。クラスター(患者集団)、または1人の患者が新たなクラスターを作り出すことをクラスター感染という。
クラスター分析は、個人や集団の意見や状況などから共通する項目を集めて分析し、調査に活かす手法のことである。クラスター分析を行うことによって、共通の症状や行動を抽出でき、その後のクラスター発生や拡大の防止につなげることができる。クラスター分析の手法には、階層クラスター分析」と「非階層クラスター分析」がある。階層クラスター分析は、調査項目を樹形図に落とし込み、それぞれの項目がどの程度近しい距離にあるかを分析する手法である。
項目同士は、低階層ほど近い関係にあり、高階層で結びつくほど遠い関係にあることが分かる。低階層にある近しい関係の項目に焦点を当てて分析をすることで、クラスターに対応すべき方法を導き出すことが可能となる。一方で、「非階層クラスター分析」とは、アンケート調査を行い、回答結果を傾向別にクラスターに分けて分析する方法である。回答者1人ひとりの傾向や行動志向を比較できるため、より細かいデータ分析に向いている。このようなクラスター分析の実施により、クラスター感染の経路や発生原因、二次感染状況における共通項目をあぶり出し、クラスター発生拡大防止のための手段を検討できることとなる。