2011年3月16日水曜日

原発危機

読み方:げんぱつきき
別名:原発クライシス
別名:Nuclear Crisis

原発事故などに伴う、原子力発電所における極めて危機的な状況。原発に由来する大規模な損失または脅威が、予測される、あるいは、既に現実のものとなりつつある状況のこと。

原発危機は、複数の面で危険を含んでいる。例えば、核分裂が制御不能になると炉から放射性物質が漏れ出し、施設職員に生命の危険が及ぶ。さらに爆発によって大量の放射性物質が施設外に飛散すると、周辺地域に広範囲に放射能汚染の危険が及ぶ。大量の電力を安定して供給してきた原子力発電所が機能しなくなることで、電力会社の受け持つ全域で慢性的な電力不足が生じる危険がある。さらには、世界の原子力発電に関する見方が影響をうけ、産業全体が停滞・廃絶にむけて傾く危険がある。

2011年3月14日に発生した「東北地方太平洋沖地震」、および巨大地震が引き起こした大津波により、福島第一原子力発電所が被災。津波の影響で安全に停止することができず、原子炉を覆う「原子炉圧力容器」、「原子炉建屋」、「原子炉格納容器」が次々と破損する事態が生じた。炉内では炉心溶融が発生していると見られている。

その後、核分裂を抑える「ホウ酸」を入れた海水で炉内を冷却し、臨界は一旦、抑えられた。しかしながら、3月16日現在、ウランの濃度が高まることで再び連鎖的核反応をはじめる「再臨界」の発生の危険が生じている。再臨界防止のため施設の上空からホウ酸散布、ヘリ注水など、様々な対応策が検討されており、依然として危機的な状況が続いている。