2011年3月17日木曜日

遅発臨界

読み方:ちはつりんかい
別名:遅発臨界状態
英語:delayed critical
英語:delayed critical condition

核分裂反応の際に放出される中性子によって核分裂の連鎖反応が引き起こされる「臨界」のうち、核分裂の直後に放出される「即発中性子」と、核分裂の発生からわずかに遅れて放出される「遅発中性子」の両方のはたらきによって、臨界に達すること。

「即発中性子」のみで臨界に達する場合は「即発臨界」と呼ばれるが、即発臨界は極めて短時間で核分裂連鎖反応が進行する「即発超臨界」状態を引き起こし、ほとんど制御不可能である。他方、遅発臨界は、遅発中性子を適度に吸収する装置を使用し、外部から臨界状態を制御することが可能である。

原子力発電は、核燃料を遅発臨界の状態に保つことでエネルギー出力を制御している。しかし、原子力事故の発生などにより原子炉が緊急停止し、いったん未臨界の状態になったのち、溶け出した核燃料が濃縮されると、即発超臨界の状態で再び臨界(再臨界)に至る可能性がある。