2013年11月18日月曜日

加重逃走罪

読み方:かじゅうとうそうざい
別名:加重逃走

刑法第98条で定められている罪。刑法第97条に定められる逃走罪(単純逃走罪)よりも重い罪として定められており、単純逃走罪とは主体、実行行為、法定刑のそれぞれが異なっている。

加重逃走罪の主体としては、単純逃走罪の主体である「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」に加え、「勾引状の執行を受けた者」も挙げられている。また、加重逃走罪の対象となる実行行為、すなわち逃走の際の手段としては、「拘束のための器具」の「損壊」、「暴行」または「脅迫」、「通謀」の3つの手段が条文中に挙げられており、それらに該当しない場合には単純逃走罪となる。加重逃走罪が認められた場合、「3月以上5年以下の懲役」に処せられるが、単純逃走罪が「1年以下の懲役」であるのと比べ、より悪質性が認められるとの見地から、刑が重くなっている。

実際に逃走が行われなかった場合でも、それを目的として拘束具や拘禁場の壁などを損壊した場合に、「実行の着手」と見なされて加重逃走未遂に問われた例がある。また、条文中の「通謀」の相手は、同じく被拘禁者であり、同時に逃走に着手した者という条件がある。例えば、面会相手に逃走の援助を頼んだ場合や、逃走に着手しなかった被拘禁者に逃走を援助された場合などには、逃走した者には加重逃走罪は成立しない。