2014年1月29日水曜日

miRNA

別名:マイクロRNA
英語:micro-RNA

20-25塩基ほどからなる低分子のRNAの総称。体内でゲノムから合成され、遺伝子発現の制御に深く関係していることが明らかになっている。

miRNAは具体的には、タンパク質生成のもととなるメッセンジャーRNA(mRNA)を分解したり、タンパク質が生成される「翻訳」の段階を阻害したりすることで遺伝子発現を抑制することが知られている。前者のmRNA分解はRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象で、人工的に合成された低分子RNA(siRNA)がそれを引き起こすことが先に知られていたが、のちに体内で合成されるmiRNAがRNA干渉を引き起こすことが明らかになり、生物が内在的に同様の遺伝子発現制御の仕組みを備えていることが示された。

miRNAは、細胞の成長、分裂、アポトーシス、がん化など、様々な段階に関与していることが知られており、miRNAが関与する分子機構の異常は様々な疾患に繋がると考えられている。特に、がんとmiRNAの関係は盛んに研究されており、がん化に伴って細胞内での発現が変動するmiRNAが多数特定されている。

miRNAを核酸医薬として用いることを目指した研究が行われており、そのアプローチは大きく2つに分けられる。一つは、疾患に伴って発現量が増す特定のmiRNAの機能を抑制するというアプローチである。もう一つは、体外から人工的に合成した特定のmiRNAを注入するなどして、不足したmiRNAを補充することで治療を行うというアプローチである。

鳥取大学の研究グループは2014年1月に「Scientific Reports」誌で、特定の単一のmiRNAの注入により、がん細胞をiPS細胞を経て正常細胞に変化させることに成功したと報告した。

関連サイト:
Hsa-miR-520d induces hepatoma cells to form normal liver tissues via a stemness-mediated process - Scientific Reports
癌細胞を正常化するマイクロRNAの医薬応用 - 鳥取大学研究シーズ集