2014年2月27日木曜日

吸入ステロイド薬

読み方:きゅうにゅうステロイドやく
別名:吸入ステロイド
別名:吸入ステロイド剤
英語:inhaled steroids
英語:ICS

吸入により服用されるステロイド薬(ステロイド系抗炎症薬)のこと。喘息の治療に用いられる。

ステロイド薬は、抗炎症作用を持つ薬剤である。1960年代に、喘息の基本病態が気道の慢性炎症であることが周知されると、1970年代初めから、吸入ステロイド薬を用いた治療が行われるようになった。

日本では、他の先進国と比べると吸入ステロイド薬はあまり用いられてこなかったが、1978年にベクロメタゾンが、1998年にフルチカゾンが発売され、2000年代になるとさらに多くの吸入ステロイド薬が用いられるようになった。吸入ステロイド薬は当初、投与の困難さから普及が遅れたが、ドライパウダー吸入器(DPI)や、定量噴霧式吸入器(MDI)などの吸入方法の発達によって、日常臨床で広く採用されるようになり、スペーサーなどの補助器具を用いることで、乳幼児に対する投与も行えるようになった。

吸入ステロイド薬は、摂取量が経口ステロイドの1000分の1から100分の1とごく少量であり、作用が局所的であることから、経口ステロイド薬よりも副作用が少ないことが利点とされてきた。しかし、薬剤が口腔に留まることによる口腔カンジダ症などの副作用や、全身への薬剤の吸収を防ぐために、吸入後はうがいをすることが必須とされている。

ステロイド剤には成長を阻害する作用があることが知られているが、従来は吸入ステロイド薬で成長阻害が起こることはないか、あっても一時的な阻害に留まるとされてきた。しかし、海外で成長阻害の報告があったことから、2014年2月に日本小児アレルギー学会は、ステロイド薬の使用にあたって注意喚起を行うとともに、乳幼児で軽症の場合には、ステロイド薬以外の薬剤を第一選択薬とするべきという方針を示した。

関連サイト:
喘息死ゼロ作戦の実行に関する指針 - 厚生労働省