2014年2月27日木曜日

糖尿病黄斑浮腫

読み方:とうにょうびょうおうはんふしゅ
英語:diabetic macular edema
英語:diabetic macular oedema
英語:DME

糖尿病網膜症を原因として、網膜の黄斑の部分に水分が溜まり、腫脹が生じる症状のこと。糖尿病に伴う血糖増加により、網膜中の毛細血管が傷害を受けることが直接の原因となっている。糖尿病黄斑浮腫が起こると、視力低下や視界の歪み(変視症)などに繋がることがあり、特に長期間症状が持続した場合、視力の回復はしばしば困難になるとされる。

糖尿病黄斑浮腫の治療法としては、軽症の場合、水分が滲出している箇所をレーザーで凝固する処置(レーザー光凝固術)が行われるが、実施例が少ないことから治療効果は必ずしも明確でないとされ、視力改善には数年を要するとされる。また、手術で硝子体を取り除くことで、黄斑浮腫の消失および視力改善に著効があることが知られているが、患者の負担が大きく、血管新生緑内障や網膜剥離などを引き起こすこともある。

硝子体の除去後、ステロイド剤の一種、トリアムシノロンアセトニド(TA)を注射することもある。手術をせずにトリアムシノロンアセトニドの注射が行われることもあるが、テノン嚢下注射の場合、視力改善が見られる症例は30パーセントから60パーセント程度にとどまるとされている。

2014年2月にノバルティスファーマ社は、従来加齢黄斑変性症に対する治療薬として承認されてきたルセンティス(ラニビズマブ)の適応症を、糖尿病黄斑浮腫に拡大する承認を取得した。ルセンティスは網膜における血管の透過性を高める血管内皮増殖因子(VEGF)を阻害することにより、水分の滲出、ひいては浮腫の形成を防ぐ効果を持つ。

また、ルセンティスと同様の作用を示す薬剤に、やはり加齢黄斑変性症の治療薬として用いられてきた「VEGF Trap-Eye(アフリベルセプト硝子体内注射液)」があり、2014年2月現在、バイエルヘルスケア社およびリジェネロン社によって、糖尿病黄斑浮腫を対象とした第III相臨床試験が行われている。

関連サイト:
「ルセンティス®」、糖尿病黄斑浮腫の治療薬として効能追加の承認申請 - ノバルティスファーマ