2014年3月20日木曜日

死亡時画像診断

読み方:しぼうじがぞうしんだん
別名:オートプシー・イメージング
別名:死亡時画像病理診断
別名:Ai
英語:autopsy imaging

CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像法)などで遺体を撮影し、画像から死因を診断、検証すること。死亡時画像診断の結果は、死亡診断書や死体検案書などの作成にあたって用いられる。

死亡時画像診断は、自然死や病死の遺体に適用されることもあるが、特に犯罪や医療過誤など、事件性が疑われる異状死が起こった場合に、死因の究明を可能にする手段として重視されている。死亡時画像診断で事件性のある異常が見られた場合、警察署に対して検視依頼が行われることがある。

死亡時画像診断は近年、大学病院などの医療現場に積極的に取り入れられているが、それまでは死因の診断および検証は、主に体表所見や解剖などに基づいて行われてきた。しかし、死因究明が十分に行われていないことが問題とされており、平成21年の人口動態統計では、解剖が行われた遺体の数は総数の2.7パーセントに過ぎなかった。

死亡時画像診断は遺体を傷つけずに行うことができることから、通常の病理解剖よりも遺族の同意が得やすいことがメリットとして挙げられている。また、解剖と死亡時画像診断を併用することで、解剖を単独で行った時よりも死因究明の精度が高まる場合があるとされている。一方、死亡時画像診断単独では必ずしも精度が高くなく、遺体の状態や死因によっては、内因死か外因死かの判断もできない場合がある。

厚生労働省は2013年6月に成立した「死因究明等の推進に関する法律(死因究明推進法)」に基づき、「死因究明等推進会議」を設けて、死亡時画像診断の活用を推進している。2014年には、子供の虐待死の見逃しを防ぐ目的で、子供の遺体に対する死亡時画像診断を本格的に推進する方針を示した。虐待死のケースでは、遺族の中に加害者が含まれることが多く、解剖の承諾が得られないことが問題視されてきたことから、遺族の同意なしに死亡時画像診断を行う場合もありうるとされている。

関連サイト:
オートプシー・イメージング学会
死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会 報告書 - 死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会