2014年3月20日木曜日

日中共同声明

読み方:にっちゅうきょうどうせいめい
別名:日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明
別名:中日联合声明
別名:中华人民共和国政府和日本国政府联合声明

1972年9月29日に日本政府と中国政府により調印された、日中国交正常化にあたっての声明のこと。日本側の代表者は内閣総理大臣の田中角栄、中国側の代表者は国務院総理の周恩来であった。

日中共同声明の発表には、前年の1971年に行われた米国ニクソン大統領の中国訪問が大きな影響を与えたとされている。米国が突如として、冷戦下でそれまで対立していた中国に歩み寄りの姿勢を見せたことから、日本も後を追う形で、中国共産党政権の承認に踏み切ることとなった。

日中共同声明では、日本政府が中華民国政府(台湾)ではなく中華人民共和国政府(共産党政権)を唯一の合法的な政府として認める内容が盛り込まれた。1952年に締結された日華平和条約により、日本と台湾との間には国交が結ばれていたが、日中共同声明に伴って国交が断絶されることなった。2014年現在、日本と台湾は引き続き国交断絶の状態にあるが、民間レベルの交流は盛んに行われており、比較的良好な関係が保たれている。

一方、中国政府は日中共同声明において、日本に対する戦争賠償の請求権を放棄することを宣言した。しかし、個人レベル、民間レベルの請求権が有効かについては日中双方で主張が異なっており、中国側は有効だとしている。日本の最高裁判所は2007年に、西松建設強制連行訴訟に関連して、日中共同声明によって中国側は個人レベル、民間レベルの請求権も放棄したとする判断を下した。

なお、日中共同声明に伴う国交正常化を記念して、中国からパンダの「カンカン」と「ランラン」が日本に贈られ、上野動物園で展示されることとなった。また、国交正常化とその後の様々な実務協定の締結を背景として、1978年には、日中共同声明の内容を大部分踏襲した、「日中平和友好条約」が締結されることとなった。