2014年3月26日水曜日

ボトリオコッカス

別名:ボツリオコッカス
別名:ボトリオコッカス・ブラウニー
別名:ボトリオコッカス・ブラウニイ
別名:Botryococcus
別名:Botryococcus braunii

石油に類似した炭化水素を豊富に分泌する性質を持つ、単細胞の緑藻の一種。オーランチオキトリウムなどとともに、藻類バイオ燃料の有望な原料として研究が進められている。

ボトリオコッカスは、細胞全体が半透明の細胞外マトリックスと呼ばれる物質に包まれており、複数の細胞が集まって群体を形成する性質をもつ。細胞外マトリックスの中には、光合成に伴い産生された炭化水素が豊富に含まれているほか、細胞内部にも炭化水素が油滴の形で蓄えられている。ボトリオコッカスは倍加時間が3日以上であり、オーランチオキトリウムなどに比べて増殖が遅いことが欠点とされているが、細胞内外に産生される炭化水素の量は他のオイル産生藻類よりも多く、産生効率の点で優れているとされる。

筑波大学の渡邉信教授らは、ボトリオコッカスの大量培養に向けた室内実験および屋外実験を進めており、平成23年度からは、100トンのスケールでボトリオコッカスの屋外培養を開始した。2014年には、茨城県つくば市に国内最大級の実験施設が完成し、2800平方メートルの敷地の約7割がボトリオコッカスの培養槽となっている。また、筑波大学では品種改良の研究も行われており、耐塩性や抗生物質耐性などを持つボトリオコッカスが創出されている。

また、株式会社IHIは「榎本藻」と呼ばれるボトリオコッカスの品種を用いて、バイオ燃料の開発を進めている。榎本藻は、神戸大学の榎本平らによって開発された品種で、従来のボトリオコッカスの約1000倍の増殖能を持つとされている。2013年11月にIHIは、榎本藻の安定的な大量培養に成功したと発表し、抽出された油を「MOBURA(モブラ)」と命名する方針を発表した。

関連サイト:
渡邉信・彼谷邦光研究室 - 筑波大学
教員情報(ENOMOTO Taira) - 神戸大学