2013年6月25日火曜日

0増5減

読み方:れいぞうごげん
読み方:ゼロぞうごげん
別名:〇増五減

小選挙区制の選挙において、「1票の格差」を是正するために選挙区の議員定数を調整する案の一つ。議席数を計5つ削減し、それに対する定数の増加は行わない。

「~増~減」という表現方法は、「4増4減」にも見られる一種の様式である。

有権者の数が少ない選挙区は、有権者の数が相対的に多い選挙区に比べて、選挙に勝つために必要な得票数が少なくて済む。つまり、選挙区ごとに1票の価値や重みに格差が生じていることになる。0増5減の導入により、この格差の緩和が期待される。

0増5減の案に関する本格的検討の動きは、2012年初頭あたりから報じられるようになった。2012年7月に、民主党が0増5減の導入を含む選挙制度改革法案を国会に提出したが、このときは「比例定数の40削減」などとセットになっており、他政党の反対に遭って結局は廃案になっている。

民主党の選挙制度改革法案における0増5減の案は、山梨県、福井県、徳島県、高知県、佐賀県の5県でそれぞれ1議席ずつ減らし、議席増加はゼロ、という内容である。

0増5減の案は、先行可決を目指して他の法案と切り離され、2012年10月29日に改めて議会に提出された。自民党、公明党もこの法案について賛成の意を表明している。11月15日に衆議院本会議で賛成多数により可決し、翌16日の参議院本会議でも賛成多数で可決、0増5減の関連法案は成立することとなった。

なお、議員定数を調整する案としては、0増5減の他に「4増4減」などもある。4増4減は、全国で計4つの議員定数を削減し、その削減分を他の人口密集区域に振り分ける。2012年9月に、福島県と岐阜県の2県で2議席ずつ計4議席を減らし、神奈川県と大阪府で2議席ずつ計4議席を増やす4増4減案を盛り込んだ改正公職選挙法が提出されていたが、衆議院側で可決されず、先送りにされていた。11月16日の参議院本会議ではこの改正公職選挙法も可決し、4増4減案も成立した。

最大2.43倍の格差が確認された2012年12月の衆院選について、大阪高裁、東京高裁などはそれぞれ違憲判決を下した。さらに広島高裁は広島1区、2区の選挙を無効とし、同岡山支部は岡山2区の選挙を無効とした。これらを含めて全国で「選挙無効」が2件、「憲法違反」は14件に上る。

各裁判所の判決に伴い、自民党の石破茂幹事長は「0増5減」を含む改正案を2013年4月上旬に提出し、同年5月中の成立を目指している。与党の改定案によって17都県42選挙区の見直しが行われ、一票の格差は1.998倍まで縮小されると見込まれている。一方で、民主党の細野豪志幹事長は「0増5減」だけでは一票の格差の根本的な解決につながらないとして民主党で作成した案を提出する見通しである。

自民党による0増5減の法案は2013年4月23日に衆議院から参議院に送られた。野党は、みんなの党が提出した独自の区割り法案「18増23減」も同時に審議入りすることを求めた。

0増5減を行う公職選挙法改正案が、2013年6月21日までに参議院で採決されなかったため、与党は「みなし否決」を適用した。憲法59条では、衆議院が送った法案を参議院が60日以内に議決しないとき、参議院がその法案を否決したものとみなすことを規定している。

みなし否決を受けて、6月24日の衆議院本会議で、3分の2以上の賛成多数により、0増5減の法案は再可決された。

0増5減を含む改正案では、1票の格差が1.998倍まで縮小するといわれているが、依然として2倍近くの格差が生じるため、更なる格差是正措置を要求する声も多い。