2013年2月27日水曜日

観音寺の観世音菩薩坐像

読み方:かんのんじのかんぜおんぼさつざぞう
別名:観音寺所蔵観世音菩薩坐像

長崎県対馬市の観音寺が所有する観世音菩薩の坐像。銅造で、像高は約50センチメートル。1973年に長崎県の県指定有形文化財に登録されている。

像内には縁起の書かれた文が蔵されており、韓国忠清南道にある浮石寺に由来する像であることがわかっている。製造年代は遅くとも14世紀の高麗まで遡る。

2012年に観音寺の観世音菩薩坐像は盗難に遭い、2013年1月30日までに韓国で発見されたことが報告された。韓国人の窃盗団が観音寺に侵入し、像を盗み出して同国に持ち込んだとされる。この窃盗団は、観音寺の観世音菩薩坐像だけでなく、津島市にある海神神社の銅造如来立像なども盗んでいる。

韓国内では、観音寺の観世音菩薩坐像はそもそも日本が高麗から略奪した像ではないのかとする見解がある。像は韓国警察のもとに回収されているものの、2013年2月現在、日本に返還されていない。

なお、日本および韓国は、ユネスコで1970年に採択された「文化財不法輸出禁止条約」をそれぞれ締結しており、不法に持ちだされた文化財は正当な所有者にすみやかに返還するものとしている。

朝鮮日報日本語版によれば、2013年2月26日に韓国の大田地方裁判所が浮石寺側の訴えを認め、観音寺の観世音菩薩坐像が日本に渡った経路が明らかになるまで、像を日本に返還する判断をしてはならない旨の仮処分を下したという。

関連サイト:
長崎県の文化財 観音寺の観世音菩薩坐像 - 長崎県
文化財の不法な輸出入等の規制について - 文化庁
盗難仏像の日本返還 韓国政府は判断示せず=地裁決定 - 朝鮮日報日本語版 2013年2月26日