2013年11月15日金曜日

サオラ

別名:ベトナムレイヨウ
英語:saola

ベトナムからラオスにかけての山岳地帯に分布する、ウシ科の動物。1992年に初めて研究者によって発見され、その翌年に新種記載された。「サオラ」はベトナムのタイ族の言語で「紡錘形」を意味し、この動物の角の形状を表しているとされる。学名(属名)を「Pseudoryx(偽のオリックス)」という通り、系統的にはオリックス属に近縁である。

サオラの主な特徴は、2本の長く尖った角を持つことや、顔面に白い斑紋があることなどである。成獣の体長は80-90センチメートルほどで、ニホンカモシカの成獣とほぼ同じサイズだが、これほど大きなサイズの哺乳類が、近年新種として発見される例は稀とされる。

サオラの目撃例や捕獲例は僅少で、「幻の動物」と呼ばれることもある。過去に数度、現地住民などによってサオラが捕らえられた例があるが、いずれも間もなく死亡している。2013年9月に、ベトナムの山岳地帯で世界自然保護基金(WWF)とベトナム森林保護当局が設置するカメラに姿が捉えられ、生きている姿が確認された。

サオラの正確な個体数は分かっていないが、ごく僅かだと見られている。また、乱獲や開発に伴って減少傾向にあるとされることから、IUCN(国際自然保護連合)が指定する「絶滅危惧IA類」の一つに数えられている。

関連サイト:
Pseudoryx nghetinhensis - The IUCN Red List of Threatened Species