2013年11月21日木曜日

安重根

読み方:アンジュングン
別名:안중근
英語:An Jung-geun

1879年生まれの、韓国の民族主義者。1909年10月26日に中国のハルビン駅において、日本の初代首相であり、初代韓国統監を務めた伊藤博文を暗殺したことで知られる。

安重根は、伊藤博文を暗殺した理由として、伊藤博文に「15の罪」があるとし、「乙未事変の主導」や「第二次日韓協約の締結」などを挙げた。安重根は伊藤博文殺害後、すぐに官憲に捕らえられ、旅順の刑務所に移送されたのち、1910年3月26日に死刑が執行された。安重根は獄中で「東洋平和論」を著したが、未完に終わっている。

韓国では安重根は「義士」と呼ばれ、国民的英雄として讃えられている。安重根の思想や「偉業」をテーマとした記念館の設立、安重根の名に因んだ潜水艦の建造、安重根の肖像画を採用した200ウォン切手の製造など、2013年現在に至るまで、様々な場面で取り上げられ、民族意識の高揚に用いられている。また、安重根が洗礼を受けたカトリック信者であったことから、カトリックの教義で殺人が禁止されているにもかかわらず、韓国国内のカトリック教会が安重根を「聖人」に準じる「福者」に列福しようとした出来事もあった。韓国政府は2013年11月現在、殺害現場のハルビン駅に安重根の石碑を建立する運動を進めている。

安重根に対する評価は、国によって大きく異なっている。日本においては、安重根は政府要人を暗殺したテロリストであるという認識がされており、政府も安を「犯罪者」と表現している。伊藤博文が日韓併合に対して慎重論をとっていたことから、安重根による暗殺が逆に併合の動きを促進したと捉えられることも少なくない。一方、中国では韓国と同様に、安重根を抗日民族運動の英雄として扱う向きがあり、中国政府は2013年11月現在、韓国の石碑建立運動に協力的な構えを見せている。しかし、中国政府は日本や国内反日勢力への配慮もあり、安重根を積極的に礼賛しているわけではなく、過去にはハルビンに建設された安重根の銅像を撤去したこともある。