英語:cask
原子力発電において、原子炉から取り出された使用済み核燃料を収納し、輸送するための容器。使用済み核燃料は初めに核燃料プールに移され、最低1年間の貯蔵を経て、ある程度温度が低下したのちにキャスクに移される。使用済み核燃料が原子力発電所から使用済燃料中間貯蔵施設や再処理工場などに輸送される際には、キャスクに収納された状態で輸送される。
キャスクは金属製の樽のような形状をしており、上部に密閉可能な二重の蓋が設けられている。キャスクは内部の使用済み核燃料を漏洩させないとともに、使用済み核燃料から放出される放射線を遮蔽するように設計されている。また、キャスクには、内部で発生する熱を適切に外に逃がし、臨界が起こることを防ぐ機能も求められる。キャスクの構造の規格としては、日本機械学会が作成した「使用済燃料貯蔵施設規格金属キャスク構造規格」が用いられている。
キャスクは内部に水が充填されている「湿式キャスク」と、水が充填されていない「乾式キャスク」に分類され、国内では湿式のものがより一般的である。なお、キャスクにはコンクリート製のものもあり、米国やカナダなどでは運用されているが、日本では2007年に設計および検査基準が定められたものの、実用には供されていない。
キャスクは落下、加熱、浸漬などの試験に合格したもののみが用いられるが、2013年11月現在、福島第一原子力発電所の4号機で行われることが予定されている使用済み核燃料の取り出し作業では、32メートルの高さからキャスクが落下するおそれがあるとされており、その高さでの落下試験の実績がないことが懸念されている。